なぜ、いまデータセンターなのか?
データセンターはネットワーク型、自社型、コロケーション型と発展してきました。10年ほど前からはGoogleやAmazonなどのハイパースケーラーによるクラウドサービス向けが主流となり、さらに近年はGPUを使ったAI関連サービスに特化したデータセンターも登場しています。
近年大きな課題となっているのが消費電力の増加です。2000年頃のラックあたりの消費電力が2~4kWだったのに対し、現在のAIデータセンターでは20kWから100kWにまで上昇しており、わずか25年で10~25倍近くに増大しています。これに対応するためデータセンターでは冷却エネルギー効率を高めるさまざまな対策が取られていますが、IT技術の変化のスピードに建物側が追いつかず、既存データセンターの冷却は限界に直面しています。

また、少し視点を変えてデータセンターおよびシステム業界の近年の状況を見ると、クラウドへの移行や共同化の流れが確認できます。2010年以降、クラウド用途を中心としたデータセンターの新設ラッシュにより、従来のデータセンターのボリュームを超えるところまできており、今後も新規および移行に関するニーズが高いことがうかがえます。金融機関などでも、独自のシステム運用からクラウド活用や共同化を進める動きが非常に活発化しています。
AIデータセンター実装・普及に向けた技術検証フィールド -Data Center Trial Field-
レガシーデータセンターにおいては、クラウド活用が進むことでデータセンター全体の稼働率が落ち、コストの最適化や資産の有効活用としての出口戦略を考える必要が出てきます。またAIデータセンターにおいては、高負荷が進むサーバーラックの冷却対策および、新しいハードウェアインフラの運用ノウハウの獲得というように、新旧双方のデータセンターにおいて、それぞれの最適化戦略が求められています。そこでNTTデータは、既存データセンターを効率的に使い切るための「データセンター資産最適化支援サービス」と、AIデータセンター向け技術の検証・共創の場としての「Data Center Trial Field」を開設しました。

AIデータセンターではCPUやGPUの消費電力と発熱量の増加により、冷却効率の改善が技術的な課題です。従来の空気冷却では限界に達しており、液体を使った冷却技術の活用も進むなど、新たな冷却技術の適用は避けられない流れとなっています。しかし新しい冷却技術は従来のデータセンターとは設備要求仕様や設計思想が大きく異なり、既存のデータセンターを活用することが難しくなります。またサーバー室に水を持ち込むことはこれまで敬遠されてきたため、構築方法や運用における責任分界点の設定などが個別案件ごとの協議となっており、データセンター事業者単独では解決できないことが多くなってきます。

AIデータセンターの実装・普及には関連プレイヤーの共創が不可欠であると考え、私たちは「Data Center Trial Field」を2024年11月に開設しました。最新の冷却装置(水冷サーバー、液浸冷却、リアドア空調など)を実際に稼働させながら検証を行うことが可能です。現在、9社が参画し、ファシリティ周りを中心とした検証や実装試験、商品開発などを行っています。テーマに応じた参画企業の拡大を進めており、お問い合わせをお待ちしています。またファシリティに限らず、本施設の装置を活用したシステム・ハードウェア検証のアレンジなども対応可能です。

クラウド活用時代における既存DC資産のアプローチ -データセンター資産の最適化-
AIデータセンターという最先端のデータセンターと同じくらい課題となっているのが、従来型のデータセンターです。 クラウド移行が活発になっている今だからこそ、既存のデータセンターの最適化運用について、課題と私たちの取り組みをご紹介いたします。 かつては、実際のコンピューター室をデータセンターとして使うオンプレミス型が主流でした。そこからハウジング、ホスティング、コロケーションといったデータセンターサービスのアウトソース化が進みました。昨今ではクラウドや共同利用型といった利用方法が登場し、クラウドを中心にしながらも、一部はオンプレミスに残したり、それらをハイブリッドで組み合わせたりする使い方が多くなっており、この残り続けるオンプレミスのデータセンターをどうしていくのかを考える必要が出てきています。 企業のPRR 向上やROE改善の観点からは、既存データセンターの建物(有形固定資産)やソフトウェア(無形固定資産)といったデータセンター関連資産が減価償却費に与えるインパクトが大きい傾向にあります。既存データセンターの減価償却を最適化することが、企業のROE改善には重要になってくるのです。
このような背景を踏まえると、従来型のデータセンターの課題は大きく2つあります。 まず1つ目は、クラウド移行による設備のアンバランス化です。移行前はいっぱいに詰まっていたラックが、クラウド移行によってスカスカに空洞化してしまいますが、電力設備や冷却設備はそのまま残り続けるため、設備の余剰や未活用が無駄な運用コストとして残ってしまいます。 2つ目は、クラウド移行後の出口戦略の不在です。クラウド移行ができたとして、その後に残る建物や設備をどうしていくのか、完全撤退か、縮小して継続活用か、第三者に提供するかなどの意思決定が遅れると、維持費やビジネスの機会損失が発生します。こういった課題に計画的に対処していくことが求められますが、ノウハウが不足していると対処が難しいのが現状です。

そこで、私たちがご提案するのが「データセンター資産最適化支援サービス」です。これは昨年の12月にリリースも出させていただきましたが、ITインフラの構築・運用だけでなく、不動産資産としてのデータセンターの利活用や処分までを一期通貫でご支援するものです。ITグランドデザインの策定からクラウド移行やデータセンター移行に加え、データセンターのアセットアセスメントに始まり、その資産の利活用や処分まで、ライフサイクル全体で最適化を実現します。ITインフラの移行支援に留まらず、不動産資産としての利活用や出口戦略までカバーしている点が大きな強みです。

サービス事例をご紹介しますと、まず1つ目は「余剰設備の最適化のプランニングと実行」があります。専門家がお客様のサーバー室内の温度、気流、空調機の運転状況など各種環境計測を行い、温熱環境の可視化を行ったところ、負荷率が低い、つまり能力を使い切っていない空調機があることが分かりました。そこで建物冷却設備の熱交換サイクルを工夫し、空調機の負荷率を改善することで、室内の冷却環境を維持したまま空調機を4台停止することができました。これによりPUEが1.67から最大1.4に改善、最大30%の空調消費電力の削減、年間約800万円の電気代削減を実現しました。このように現地調査に基づいて設備アンバランス化を解消し、最適化による消費電力の削減までをご支援しています。
2つ目の事例は「アセスメントを踏まえたLCCの最適化と出口戦略の実行」です。お客様の建物の図面や現地調査を踏まえて建物評価をし、それをもとにLCCの改善提案だけでなく、その後の処分や売却といった出口戦略までご支援しています。不動産業者や流通業者と連携し、当社独自の情報収集や分析による販売戦略により、元々発生するはずだった固定資産売却損を減らすどころか、売却による収入を得られたという事例がございます。
もしデータセンターについてお困りごとがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。
私たちは、既存のレガシーデータセンターとAIデータセンターの両輪で取り組んでいます。データセンター資産最適化では、既存データセンターの価値の最大化として、データセンター資産の最適な利活用や処分をご支援します。Data Center Trial Fieldでは、これからのAIデータセンターに向けて技術検証や共創に取り組んでいます。私たちは、レガシーデータセンターの最適化をお客様と共に進め、AIデータセンターの未来に挑むことで、データセンターの継続的な発展に貢献していきます。
