今回ご紹介するC-Turtleは総排出量配分方式という計算方式を採用したプラットフォームです。サプライチェーン全体でつながりを構築してCO2排出量の削減を実現することを特長としています。
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NTT DATA Next Gen Future vol.43
脱炭素化の努力を社会全体でもっと共有するためには
多くの企業でカーボンニュートラル実現への気運が高まる中、脱炭素経営の第一歩である温室効果ガス(GHG)排出量可視化の取り組みが活発化しています。 特にScope3排出量算定においては、サプライチェーンを含めた算定が求められているが、上流に位置するサプライヤーの排出量の把握は容易ではなく、算定負荷が高い、算定はしたが減らせないなどの課題があり進展していない企業も多くあります。 本セミナーでは、サプライチェーンを含む排出量可視化の課題についてGHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle®」を活用した解決方法を紹介します。
このような方におすすめ
- ・経営層、サステナビリティ、ESG、環境部門の方
- ・GHG排出量算定の取り組みを検討されている方
- ・GHG排出量算定について課題をお持ちの方

株式会社NTTデータ コンサルティング事業本部 サステナビリティ&ストラテジー推進室 吉田 道央
大手百貨店のECサイト構築、大手SPA企業のグローバルEC構築に従事後、日系製造業のグローバルITガバナンス、DXを支援。 多くの製造業にとって温室効果ガス(GHG)の排出量算定が課題となることからGHG排出量可視化プラットフォーム(C-Turtle)を企画、C-Turtleをコアのアセットとしたグリーンコンサルティングを提供。
「C-Turtle®」のコンセプト
気候変動対応に関する情報開示
近年の脱炭素の動きですが、パリ協定に起因して2020年10月、日本政府が2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにするという政策目標が発表されました。それに呼応してJPXでもTCFD開示の実質義務化、CDP回答を推奨するといった動きになっています。従来の財務情報だけでなくCO2排出量情報もきちんと開示するように要請されています。
その算定方法については、GHGプロトコルがデファクトスタンダードになっています。Scope1、2、3の3つに分かれており、Scope1、2は自社の活動に伴う排出量で、Scope3は自社ではなくサプライチェーンの排出量を計算しなさいというものになっています。具体的には購入したサービスに紐づく排出量や出張で利用した交通機関に紐づく排出量などを計算しなさいというものです。
このScope3がGHGプロトコルを特徴づけるポイントになっていると思います。私も以前講演をさせていただくなかで「Scope1、2だけでいいじゃないか。なぜScope3を算定する必要があるのか」というコメントをいただいたことがあります。自社分を計算すればそれでいいじゃないかということなのですが、非常に気持ちは分かるのですが、それだけだとなかなか削減のインセンティブにつながっていかないなとも思います。例えばお客様から排出量を減らすために一緒に何か考えられないだろうかという要請、場合によってはプレッシャーになるかもしれませんが、そういったものがあることで社会全体での排出量の可視化・削減を考えるきっかけになります。そのためのScope3であるという概念を理解したうえで、排出量算定に取り組むのは非常に重要なポイントです。
Scope3算定における課題
ではScope3に関して皆様がどのような課題感に直面しておられるかを紹介します。
Scope3はカテゴリー1から15に分かれています。
注目すべきはカテゴリー1「購入した製品・サービス」(購入した製品、サービスの原材料、部品、容器、包装などが製造されるまでの活動に伴う排出)とカテゴリー2「資本財」(自社の資本財の建設、製造に伴う排出)です。
各業界を横断的に見てもこのScope3のカテゴリー1と2が共通して大きい傾向にあります。2050年にネットゼロを目指そうとすると、これらの調達に紐づく排出量の削減が非常に重要なポイントです。
これらの計算においては、多くのケースでは環境省が出している産業連関表ベースの排出原単位を使用していると思います。何か物を調達したらそれに対する排出原単位を、400行ほどある産業連関表よりどれに紐づくか探して計算しているのではないでしょうか。実際お客様より算定状況をお伺いすると、算定担当者にしか読み解けないような、この品目に対してこの原単位を当てるという秘伝のタレのようなエクセルを運用されております。
しかし産業連関表を使った算出では弊害が出てきております。例えばパソコンを10台調達したとすると、排出原単位が連関表ベースで0.452ですのでこれを掛け算します。計算方法に問題はないのですが、排出量を減らす場合、排出原単位が固定値になるのでパソコンを減らさねばならなくなります。
ということでパソコンの調達先A社B社それぞれのカーボンフットプリントを集めて計算しようというアクションを取ろうとする方もいらっしゃいます。それができれば良いのですが、果たしてすべての調達品に関して品目、さらにその型番レベルでカーボンフットプリントを紐づけて連携されてくるでしょうか?さすがにそれは難しいというのがNTTデータの見立てです。またこれは町工場の方からお聞きしたことですが、カーボンフットプリントを公開することで原価が透けて見えてしまうのではないか、という懸念もお持ちでした。カーボンフットプリントは、算定の難しさに加えて、こうした商売上開示したくないという人がたくさんいらっしゃると考えています。
C-Turtleとしての解決方法
こうした算定上の課題に対して我々が打ち出している解が、今回ご紹介する「総排出量配分方式による算定方法」です。これは何を買ったかという品目ごとの計算ではなく、誰から買ったかで評価する方式です。例えばサプライヤA社がScope1、2、3で100万トンの排出量だとして、売上高が100億円だと仮定します。するとこの会社さんは1億の売上を生み出すのに1万トンを排出していると捉えることができます。こうした会社さんからいくら物を買っているかで、排出量を計算するものです。
品目から離れて会社単位の概念にシフトする例をもう少し詳細説明しますと、100万トン排出していて100億円売り上げているサプライヤA社から20億円のものを調達するのであれば、サプライヤ別排出原単位に20億円をかけたものが、Scope3カテゴリー1の原材料調達として引き受けるべき排出量として計算します。
この方式の良い点は、サプライヤA社が排出量削減の努力、例えば再エネを導入して排出量が半減した場合、サプライヤ別排出原単位が半分になりますので同じ量を買い続けたとしても引き受けるべき排出量が減っていくことになり、サプライヤの削減努力を取り込める計算式になります。
このように企業の排出量と取引を紐づける計算式によって、排出量削減の努力を下流の会社もきちんと引き受けていける、そんなつながりを生む計算式である点が非常に重要です。これによって社会全体の排出量削減につながっていくと考えております。
総排出量配分方式を一番活用できるプラットフォームは、のは、C-Turtleであると自負しております。その理由をご説明します。
総排出量配分方式を実現するには、まず会社さんの売上高と排出量情報が必要です。この2つの情報に関してはCDPというグローバルなNGO団体とNTTデータは使用許諾契約を交わしており、彼らの持つ排出量情報や売り上げ情報を使うことができます。また地道な活動ですがサステナビリティレポートなど各社のレポートを参照して情報を集めており、さきほどのサプライヤ別原単位を拡充させることに力を注いでいます。実際NTTデータでもこの総排出量配分方式を使っていて、カテゴリー1、2の部分のボリュームゾーンの削減に成功しております。
また総排出量配分方式を「NTTデータオリジナルですか」と質問されることがありますが、この方式はGHGプロトコルに完全準拠した計算方式です。2024年3月に開示された環境省のガイドラインでも使用されているロジックですので、安心してご利用いただけます。
C-TurtleはScope3の総排出量分配方式に優れていますが、Scope1から3まで全てのカテゴリーに対応したクラウドプラットフォームですので、算定全般にお使いいただけます。各種算定方式を準備しております。
算定後にはEEGSへの報告やTCFDの開示報告もワンストップで行えます。特にCDPに関してはAPIを経由して報告ができるように現在開発を進めています。このAPI連携の実装を進めているのはNTTデータのみのため、CDP報告を視野に入れている方はC-Turtleをぜひご検討いただければと思います。
まとめ
GHG排出量算定時に重視すべきポイントとして、まず可視化は削減アクションするために行うもので、そこはブレないようにしていただきたいです。またGHGプロトコルだけでなく法規制にも同時に対応できるように算定するのがポイントです。さらにサプライヤとの協力で排出量を減らしていくことも重要です。可視化にエネルギーを割きすぎるよりも、削減に労力を割くのが本質であると考えます。
最後になりますが、小規模な事業者様ではなかなか排出量の可視化が進んでいない方もいらっしゃるかと思います。2024年1月から、売上50億円以下である、C-Turtle導入企業様からのご紹介という条件はありますが年間利用量無償プランも提供しておりますのでC-Turtleをご利用いただいている企業のサプライヤ様の可視化にも広げていければと考えております。
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