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日本企業のデジタル技術による変革の要諦 ~なぜ日本のDXはビジネスインパクトを生みにくいのか~ 受付終了
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NTT DATA Next Gen Future vol.65

日本企業のデジタル技術による変革の要諦 ~なぜ日本のDXはビジネスインパクトを生みにくいのか~

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AIをはじめとするデジタル技術の進展が目覚ましい昨今、企業のIT/DX組織は、ツール導入やデジタル人材育成だけでなく、デジタル技術を用いた大きなビジネスインパクトを創出することが求められています。  DXを局所的な取組みに留めず、経営課題に紐づく事業変革を実現するには何をすべきなのか。デジタルを用いた企業価値向上の中核組織となるべく、既存組織をどのように変革させるべきか。本講演では、NTTデータ流の社員自律型のDX実現に向けた伴走支援の具体的なメソッドと事例をご紹介いたします。 

このような方におすすめ

  • 経営・DX推進部門・IT部門として、DX推進が全社の取組みにならない等の壁にぶつかっている方

株式会社NTTデータ コンサルティング事業本部​ 組織・人材マネジメントユニット​ 部長 加藤 智将

販売、物流、生産管理システムの構築・更改プロジェクトに従事し、2018年よりコンサルティング事業部へ異動。企業のDX推進組織の運営に携わり、開発経験を活かしたデジタル化支援のみならず、企業の変革を定着化させるための組織設計や、現場・経営層の意識変革に従事。 NTTデータ社内におけるコンサルタント育成活動にも注力しており、コンサル機能の強化を目的とした自社の企業変革活動も推進している。

セミナーレポート

日本におけるDXの現状

まず日本におけるDXの現状について振り返ります。多くの企業が事業環境の変化やディスラプターの台頭を受け、変革の必要性を強く認識しており、半数以上の企業が5年後以降は競争力を維持できないとしており、危機感の高まりが見て取れます。そして企業の多くが全社的にDXに取り組んでおり、米国と同程度の水準に達しています。

しかし成果面では明らかな差が生じています。米国と比較すると約30%、ドイツと比較すると約24%の遅れを取っています。つまり現状では変革の必要性を認識し、全社的DX取り組みは増えたものの、 実成果の刈り取りが進んでいない状況だと言えます。加えてDX人材不足も深刻な課題で、2024年時点で米国ではDX人材不足を訴える企業が約24%であるのに対し日本では約85%に上っています。

こうした状況に対して多くの企業が実施してきた施策は、大きく3つに整理できます。

・事業変革のグランドデザイン: DX戦略の策定とビジョンの社内外への発信

・変革推進組織の設置:情報システム部門による支援やDX専門組織の立ち上げ

・IT・デジタル人材の育成: DXの道具となるデジタル技術を習得するための育成

こうした取り組みによって、事業内の個々の課題の解消、たとえば業務の自動化、ワークフロー改善、製造現場におけるロボット導入などは比較的進み、効果の刈り取りも進んでいます。その一方で事業をまたいだビジネスインパクトの大きい変革、たとえば経営、製造、販売の情報連携の高度化、AIを用いた新素材の開発、製品の付加価値向上などの領域では取り組みが十分に進んでいないのが実情です。

なぜこうした領域で成果が生まれないのか、変革を生み出すための要諦をお話ししていこうと思います。

デジタル技術による変革の要諦

ビジネスインパクトが小さい要因と、そこから脱するための「変革の要諦」は3点に集約されます。

1つ目は戦略です。DXが経営課題や事業課題に紐づかず、個人の短期的・局所的な課題解決にとどまっていることです。この変革の要諦としてはDXの「X」を定義すること。つまり経営や事業の課題を言語化し、それを解決するためのデジタル戦略を立案することです。

アジャイル開発、データ基盤、生成AI、ガバナンス整備などの施策は重要ですが、経営戦略や事業戦略と直接紐づいていないとDXによるイノベーションにはつながりません。まず「解くべきX」を明確に言語化し、現場も腹落ちできる形で共有することが不可欠です。事業ポートフォリオの変革を行うのか、新規事業創出なのか、コア事業からソフトウェア事業へシフトするのかなど、ビジネス変革の姿を定めて、デジタルで何ができるかを考えることです。ポイントは現場が理解できる解像度の高い言語化です。

2つ目は組織です。既存組織、特に各事業部門の影響が強く残り、横断連携ができないことで変革の推進力が弱まるケースです。各事業部の細かい課題への支援や対応が中心になってしまい、事業横断での変革支援が進まないというご相談を受けることもあります。ここで重要なのは、DX組織のミッションは事業の変革であり、変革組織は経営・現場・事業のハブとなって事業変革を主導することがポイントです。事業ごとの個別変革は社員が自律的に行っていけるように支援し、変革組織は横断テーマに集中する体制へ移行する組織戦略が必要です。

DX組織は事業変革組織に変わっていく必要があります。そのミッションは「経営課題Xの特定KPI設計」「注力すべき事業領域とデジタル施策の策定」「変革が実行できる組織への構造変換」の3つです。

3つ目は変革の実行です。

ツール導入により足元の課題を解決して、それで満足してしまい、大きな効果を享受できない落とし穴があります。

重要なのは、IT資産を経営資源と捉え、社員や組織がそれらを使いこなして戦略を実行するために何ができるのかを考え続けることです。そのためのスキルと仕掛けづくりを、単なるITスキルと区別して「デジタルケイパビリティ」と呼びます。私たちはこれが最も重要と考えております。

デジタルケイパビリティを私たちでは次の5つに定義しています。

①デジタル活用戦略構築能力:経営・事業課題に対するデジタルの寄与できる領域と役割の可視化、レバレッジの高い重点投資分野を見極める能力

②デジタル活用コミュニケーション能力:IT・ユーザー部門・経営が一体となって理解し迅速なアクションの仕掛けを可能にする基礎能力

③業務デザイン能力:既存制約に囚われず、業務の可視化・改善・標準化を作成し、誰もが理解できる形にできる能力

④投資判断・モニタリング能力:明確なKPI設定と正しい投資判断の基礎となるIT投資を正しく把握する能力

⑤チェンジリーダー開発能力:企業変革の中枢を担う業務やデジタルに精通した専門人材を育成する能力

デジタルケイパビリティの獲得には私たちのような「外の力」だけではなく、自社の社員・組織が自ら獲得するという強い覚悟が必要になります。デジタルケイパビリティを社内に蓄積するためのボイントとそのための具体的な行動としては以下があります。

①経営・事業目標に対するデジタルの役割の言語化と社員によるKPIの腹落ち感

ここではトップの強いメッセージと、現場に戦略を落とし込む泥臭い活動、たとえば全国の各拠点を回って定着させていくなどの活動も重要になってきます。

②知識を活用力へ昇華させる「背中を見せる」デジタル変革の現場

先行者が変革をリードし、後進に背中を見せる、すなわち個別のDXテーマの推進、プログラムマネジメントなどを学び実践できる現場を、いかに作っていくかが重要です。

③自立推進のための標準化と仕掛け作り

課題を理解把握したうえで自律的に改善のアクションを起こせるような環境づくりが必要です。そのためには私たちでは「社員のコンサル化」と呼んでいますが、業務課題分析を誰でも推進できるスキームで標準化し、共通の基盤として誰でも活用や管理ができるようになっていく環境を目指して行く必要があります。

④デジタルケイパビリティを持続させるための組織・運用

持続的な組織活動を進めていくためにはリソースを補うための人材登用、デジタルケイパビリティの要件の可視化と定量モニタリング、人材評価項目や配置/育成の推進がポイントなります。

⑤経営インパクトを最大化するIT投資ガバナンス

全社横断の投資委員会設立、四半期単位の投資対効果評価・継続可否判断などを行う。

これら5つのポイントを、外の力に頼りきらず自分ごととして推進することが重要です。

NTTデータのDX支援事例

NTTデータでは、上記の考え方に基づき、戦略構想から実装、ケイパビリティ蓄積などの支援を行っています。

●事例:製造A社のDX戦略構想策定

国内事業の営業利益率低下に直面し、海外展開を強化していたものの、リージョンごとのニーズ把握が不十分で売上が伸び悩んでいらっしゃいました。また新規事業も収益化に至らない課題がありました。NTTデータの変革コンサルティング部隊とインダストリーの知見を持つコンサルティング部隊が連携し、5つの観点でアセスメントを実施。経営課題と紐づいたDX戦略を構築し、バリューチェーン変革、それを支える基盤構築、成長領域への投資を実行しているところです。結果としてすでにバリューチェーン改革に着手し、数十億規模の減価改善が見込まれています。組織・人材領域への投資も進み、成長領域の拡大に寄与しています。

●事例:製造C社 全社DX推進支援

海外を含む事業の急激な変化に対し、デジタル技術を活用した製品の高付加価値化と原材料の安定供給化が経営課題となっていました。加えて変革組織のリソース不足と全社員の自律化も課題となっていました。

NTTデータではDXグランドデザインを策定し、経営課題と紐づける形で事業のあるべき姿、ロードマップ、改善策を一貫させ、経営と現場が変革方針を共有できるような形をつくりました。

また初期からデジタルケイパビリティの必要性を訴求し、デジタルリテラシーに留まらず業務デザイン教育や投資判断スキームなどを整備しました。これより個別テーマは社員が自律して推進できる体制とし、社内社員のコンサル化を推進。変革組織は横断テーマに注力する形で、個別テーマ、横断テーマとも全社でうまく回る運用へ移行しています。

まとめ-DXを大きなビジネスインパクトにつなげるには

最後に、DXを大きなビジネスインパクトにつなげるために必要なものをまとめます。

1つ目は自社にとっての「X(解決すべきもの)」の定義と言語化です。

2つ目は経営・現場・DX推進組織が連携したうえで事業変革を主導できていることです。

3つ目は経営資源を使いこなすためのデジタルケイパビリティが社員・組織に蓄積されていることです。

これらを実現する「強い覚悟」が何より重要であると私たちは考えております。私たちNTTデータはコンサルティング支援だけではなく変革パートナーとして、皆様の覚悟を後押しする形でお客様の変革を支援してまいります。

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