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クロスインダストリーでの新規ビジネス創出 -デザイン&データ活用アプローチと事例- 受付終了
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NTT DATA Next Gen Future vol.5

クロスインダストリーでの新規ビジネス創出 -デザイン&データ活用アプローチと事例-

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DXによる新しいビジネス・サービスの創出を求められている企業や組織が増えています。モノ売りからコト売り、新しい顧客体験、サブスクリプション、パーソナライズなど、様々なキーワードが出て来ています。そして、その新ビジネスの対象はMaaSやスマートシティなど、既存の業界範囲にとどまらず、いわゆる業際領域(クロスインダストリー、異業種連携)が注目されています。業際領域でのビジネス創出に有効なアプローチは、今いちど現状の課題に立ち返り、その解決に向けてデザインとデータを活用することです。NTTデータが掲げるDesign and Data driven Business Transformationについて、実際の実例を交えてご紹介します。

株式会社NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部 コンサルティング事業部 坂本 裕輝

これまで鉄道、自動車等モビリティカンパニーのコンサルティングに従事。経営管理等の豊富な業務コンサル経験を活かし、現在は様々な業界を巻き込んだ“新たな移動と消費”をテーマにモビリティ分野の共創ビジネス創出を進めている。

株式会社NTTデータ コンサルティング&ソリューション事業本部 コンサルティング事業部 赤司 晃彦

金融機関向けシステム開発経験後、製造業・物流業向けIT・業務コンサルティングに従事し、顧客企業におけるグランドデザインや業務変革・デジタル技術導入などを推進。 現在はモビリティ分野での業際ビジネス創出のため、様々な業界の企業と連携し事業企画・実証実験などに取り組んでいる。

セミナーレポート

グローバル競争における市場動向

市場動向として、Uberなどに代表されるデジタルディスラプション(破壊的な変化)が加速しており、GAFAの異業種参入の勢いが増しています。既存のサービスの枠を越えて生活者視点でサービスを再構築した企業が勝ち組になりつつあります。日本市場に目を移してみますと、いまだ物売りなら物売り、製造業なら製造業といった画一的なサービス提供にとどまっていますが、それでも彼らに対抗するため、異業者連携により新たな付加価値提供を目指している、というのが現状です。そこで提供されるサービスには、データ、モノ、処理など多角的な価値提供が必要となり始めています。

これから求められるケイパビリティとは

異業種連携により新たな付加価値提供が求められるこれからのマーケットでは、新しい生活者体験を考え出すデザインの能力、それらを実現するデータ、テクノロジーへの造詣、それら全部を取りまとめてビジネスに昇華させる能力が必要です。これらの頭文字をとってDDBTと名付けています。

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なぜNTTデータが業際領域に取り組むのか・取り組み方

弊社は様々な業界のお客様のビジネス変革をITの力で支え、これまで社会基盤を構築してきました。だからこそ業界の結節点として機能し、このDDBTのケイパビリティを用いて、お客様と新たなビジネスを協創していく考えです。

この1、2年の取り組みはメソッド化しておりますので詳細は後半でご説明します。業際ビジネスの推進は、生活者起点で発見した課題の解決策やビジネスアイディアについて、関係する全エレメントをサイクリックに仮説検証しながら成功確度を高めていくことが重要と考えています。

どういった業際領域から取り組みを始めているかと申しますと、今後大きく生活者の体験が変わるであろうエリアからスタートしています。例えばMaaS、Smart City、Food & Wellnessの領域です。本日は中でもMaaSにおける取り組みについてご紹介します。

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モビリティ分野事例

MaaSにおいては、交通手段や自動車などに対して様々なサービスをシームレスに提供することが重要と考えています。私たちは移動サービスと目的地サービスを掛け合わせた新しいビジネスモデルを「モビリティコマース」と呼んでおり、この領域に取り組んでおられる事業者の方たちと協創を進めています。NTTデータのDDBTのケイパビリティを提供しながら、お客様企業とともにビジネス企画や実証実験を進めています。わかりやすく一例をあげると「モビコマ(旧名称:We Drivin’」というサービスがあります。これは車の中にいるキャラクターが周辺の観光情報や個人に合わせたおすすめ情報を提供し、お出かけをより便利に楽しくしていこうというものです。提携しているデザインファーム、ゲーム会社と共にプロトタイプを作成し、モビリティ事業者や観光事業者のお客様と実証実験を進め、事業化に向けて取り組んでおります。こうした取り組みに対して様々な事業者の方に共感をいただき、現在多くの方との連携が進んでいるところです。

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業際ビジネスの推進ポイント

取り組みから私どもが得た、業際ビジネスを推進していくうえで重要なポイントをご紹介します。

先ほどご説明したDDBTを少し捉えなおしてDesign and Data Driven Business Transformation、すなわち「デザインとデータを起点としたビジネス変革」がポイントと考えていますが、実際にビジネスの中にデザイン、データ、テクノロジーの要素を取り込むためには、どのようなプロセスと人・組織が必要となってくるでしょうか。

まず業際ビジネスとは、まだ誰も見たことのない新しいサービスのことです。それを創り出していくには、プロセス面では、探索的に様々な要素を検討し、試行錯誤して発見を蓄積するプロセスがポイントとなります。また人・組織では全体を統合する小さなコアチームを中心に、専門家のネットワークもポイントとなってきます。

そしてプロセス面では「管理された高速試行錯誤」と呼んでいますが、ビジネス検討を進めていくうえで、様々な要素をまんべんなく深く検討していく必要があります。例えば私たちの場合、下図のようなことを実行しました。

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業際ビジネスは最初、何もない状態から始めなければなりません。私たちの場合移動サービスと周辺サービスの融合というアイデアから始まりました。DDBTを核に検討を始め、やがて未来像がぼんやりと見えてきます。未来と現在をつなげていくために、デザインやユーザ体験を追求し、ビジネス、データ、テクノロジーも深堀りしていくことで、現在からどのように道筋をたどっていけばその未来にたどりつけるのかが見えてきます。

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上図はそのプロセスのイメージですが、重要なフェーズが2つあります。

ひとつが試行錯誤のフェーズです。DDBTを高速試行錯誤していろんな要素や可能性をたっていき、未来予測や戦略のビッグピクチャーを描き、必要なプレーヤーや検討要素を洗い出します。

もうひとつが各要素の追求フェーズです。ここでは試行錯誤の結果をもとにして戦略やポジショニングに則って各要素に特化して検討を深めます。この時のポイントは、深堀りを専門家に任せるのではなく、コアチームが自分たちで行うことです。


プロセスを実行するにあたって、人・組織がポイントになります。「小さなコアチームと専門家ネットワーク」がキーワードです。下図は私たちの体制を模式的に表したものです。

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真ん中にいるのがコアチームです。

NTTデータのコンサルティング部門には様々なインダストリーの知見を持ったメンバーがいるので、連携することでモビリティ事業者や周辺サービス、観光や小売りの方の経営課題、業務課題から入っていくことができました。

コアチームの実際のメンバーは2、3人程度で、DDBTのそれぞれの強みを持ったメンバーを一時的にアサインしてもらいながら進められたことも、小さな組織で推進力を持って事業を進めることができたポイントではないかと思います。

さらに社内やグループを通じて様々なお客様企業とアクセスでき、ディスカッションさせていただけたのも大きなポイントです。またデザインファーム、ゲーム会社、アジャイルチーム、データサイエンティストなど専門家との連携も重要なポイントす。


以上、NTTデータの業際ビジネス進め方、私たちの持つDDBTのケイパビリティ、そしてその推進力をご紹介してきました。業際ビジネス事業を検討されている方がいらっしゃれば、連携して新しいものが生み出せれば幸いです。

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