本音が出やすいTwitterだからこそ、生活者の深層心理が見えてくる
巨大ソーシャルメディアとして成長をつづけるTwitterでは、さまざまな生活者の方が自身の興味や関心について投稿しています。2021年7月にはグローバルでの利用者数(mDAU(注1))が2億600万人を超えたと発表されました。
注1)mDAU:収益につながる1日あたりのアクティブユーザー数
Twitterは、利用者数の多さに加え、複数あるSNSのなかでも本音の発言が多いことが他にない特長のひとつといえます。知り合いで繋がるクローズドコミュニティになりがちなFacebook、セルフブランディング的要素の強いInstagramに比べ、Twitterはその時見ているテレビ番組の感想や時事に対する考えなど、自分のさまざまな考え・感情をストレートに発信する傾向にあります。
通常は、生活者自身の行動理由は言語化されにくいものです。購買行動もその1つで、買ったかどうかはPOSデータや在庫情報で把握できますが、「何故それを買ったのか」といった理由を読み解くのは困難です。アンケートやグループインタビューはアプローチ手段の1つですが、どうしても誘導的になりがちですし、設問外の回答は得にくいといった問題もあります。
この問題に対し、本音の出やすいTwitterで情報収集してみると、自由気ままに思った事が投稿されています。また、切り口を変えれば本人すら意識していない深層心理をつかむヒントとなる可能性もあります。
具体例をあげると、「お腹がすいた」というツイートは、一見すると無意味に思われがちですが、時間帯別に分析を行うと、毎日23~24時台にかなりの数のツイートが見て取れます。掘り下げて見てみると、「勉強しようにもお腹が空いて集中できない」といった声が見えてくるので、「夜中に勉強で頑張る人へ」のようなお菓子企画や、「深夜に食べても罪悪感のないカロリー」といったコンセプトでの補助食品の開発につなげることも考えられます。
このように、切り口を変えてマクロ視点から分析を行うと、一見無意味なツイートも、深層心理を探る重要なデータであることがわかります。
(空腹関連ツイート件数推移(★:23-24時のツイート))
NTTデータならではのTwitterデータ分析の取り組み
NTTデータではTwitterデータを活用したサービスとして、①全量Twitterデータ提供サービス、②Twitter情報可視化サービス、③分析・データ活用/基盤構築支援サービス、の三つを提供しています。
NTTデータは、アジア唯一のOfficial Twitter Data Partnerであり、Twitterがサービス開始した2006年以降の全世界の全量データを保持しています。また、NTTデータが提供するAPIは日本語処理が得意という特長があるため、正確に、かつ全量の日本語ツイートを抽出することができます。
この全量データを扱える強みに加えて、①Twitterアカウントのプロファイル推定、②大量商品/ブランド等の網羅的解析、によって分析の深みを持たせる取り組みを行っています。
- 強み① Twitterアカウントのプロファイル推定
NTTデータ独自の分析技術により、投稿内容・フォロー/フォロワーのつながりなどから、性別・年代・居住地・志向性・価値観といった各アカウントの属性を推定しています。
- 強み② 大量商品/ブランド等の網羅的解析
一般的なソーシャルリスニングツールだと1ブランド(キーワード)ごとでしか解析できませんが、全量データを自由に扱えるNTTデータでは数千の商品・ブランドを網羅的に同時解析することが可能です。
これらの強みを活かして、下図のようにコミュニティごとのトレンド調査と、それによる消費者起点の商品開発・施策開発にご活用いただいています。
他にも、テレビ朝日さま「Qさま」、プロ野球マイナビオールスターゲームにおける「Twitter賞」選出など、さまざまな業界・業種の方々にご活用いただいています。
Twitterデータを活用した新規トレンド発掘などのマーケティング事例
本音の出やすいTwitterとNTTデータの分析技術を組み合わせたデジタルマーケティング領域の具体的な活用事例をご紹介します。
① 新規トレンド発掘
多くの企業さまから、新規トレンドをキャッチし、売れる機会や商品開発のヒントをつかみたいとご相談いただきます。
昨今ではソーシャルメディアを介し、生活者起点で突然生み出される新規トレンドも多く、その把握にも苦慮されているとのこと。一般的なソーシャルリスニングツールでは、話題になっている物・事象をキーワードとしてセットする事により盛り上がり状況の可視化は可能ですが、“これから話題になりそうなトレンド”を事前に検知するのは難しいといえます。
NTTデータでは、全量Twitterデータから新規事象・特異事象を幅広く抽出、急上昇した事象を検知し、事象の背景にあるニーズを発掘することで、新規トレンドをキャッチする取り組みを行なっています。「何やらヘンプシードが燻っている」、「ダージーパイの話題量の動きが気になる」といった日々の変化を可視化してご提供するだけでなく、これらのデータをTwitterアカウントの属性推定情報と掛け合わせる事も可能です。
例えば、ファミリーマートさまが2017年末に発売開始したバターコーヒーは累計1,700万本を突破する大ヒット商品となりましたが、実はNTTデータでは商品販売の2年半前に“話題になりそうなトレンド”として「バターコーヒー」を検知していました。
一般的に商品開発には半年程度必要と言われていますが、上記以外にもブームとなったアーモンドミルクコーヒー、メイソンジャー、エッグスラットなども十分な猶予を持って検知出来ています。
このほかにも、例えば以下のような形で新規トレンド情報をご活用いただけます。
- 小売業:保有する販売分析データと組み合わせて次のヒット商品を予測
- 小売業:販売分析データと組み合わせた中長期の需要予測(棚割・仕入・発注)
- 広告代理店・マーケ部門:プロモーションのアイディア検討(訴求メッセージとニーズとの整合を検証)
➁ ブランドモニタリング
ブランドモニタリングについては多種多様の切り口がありますが、具体例の1つとして、ブランドポジション観測に取り組んでいます。
Twitter上におけるイメージキーワードを全量抽出し、そのキーワード同士の距離を空間マッピングすることで、イメージワード空間を作ります。その空間上に世の中にあるブランドをオーバーレイすると、イメージキーワードとブランドの関係性が可視化できる取り組みです。あるお客さまでは、ブランド戦略上のコラボ先企業を検討する際のインプット情報としてご活用いただきました。
また、ブランドスコアの観測にも取り組んでいます。ビールメーカーさまの事例では、全ビール銘柄に関するツイート量、およびそのポジティブ率、そして「飲んだ」というキーワード量の3軸で整理・可視化し、それを時系列で日々のブランドコミュニケーション結果として確認しました。
ほかにも、公式アカウントのフォロワーの属性や趣味趣向情報を推定し、どんなユーザーから興味を獲得しているかを確認した事例もあります。ある公式アカウントは、学生をターゲットにしていたものの、分析結果として実際は30~40代がフォロワーのボリュームゾーンであることがわかり、学生向けを意識したプロモーション方針に切り替えるきっかけにもなりました。
Twitterデータを用いた、より深い”予測”へのチャレンジ
活用の幅が非常に広いTwitterデータですが、NTTデータのご提供サービスは今回ご紹介した新規トレンド発掘のような”予測”をキーワードに、さらなる進化を続けています。
例えばNTTデータでは、エンタープライズAIプラットフォーム「DataRobot」との連携によって、いままでよりも精度の高いAIモデルを構築し、需要予測やトレンド予測に適用しています。
まだまだ進化の可能性を秘めるTwitterデータ活用、ぜひこれからの展開にもご期待ください。