カーボンフットプリントを可視化する必要って?
カーボンフットプリント(CFP)の可視化には、企業全体の温室効果ガス排出量可視化と、製品・サービス別の排出量可視化の2種類があります。企業全体の温室効果ガス排出量可視化は投資家や市場に対して開示する義務があるためすでに取り組まれている会社様も多いのではないかと思いますが、もう1つの製品・サービス別の排出量可視化は、取引先からの要望対応や競争力強化に繋がることからニーズが高まっています。
CFPの義務化についてですが、取引先からの高まる要望の背景にはCBAM(国境炭素調整措置)、欧州バッテリー規制、デジタルプロダクトパスポートなどの法規制があり、CFPの義務化は避けられない見通しと認識しています。
これらの動向を受け、サプライチェーンの最上流に位置する化学業界や素材業界ではサプライチェーン全体の排出量を可視化するITソリューションに本格的に着手している現状です。また自動車業界、機械業界などの組み立て系の業界からも引き合いをいただくことが多くなっています。

9社のCFPを可視化して分かった、共通課題
当社はCPF可視化について実績を積み重ねており、CFPのコンサルティングから、導入、運用、定着まで豊富な実績を有しています。

プロジェクトの経験を重ねていくなかで、各社共通のお悩みは「可視化運用」「システム導入」「業務拡張性」の3つに集約できます。
可視化運用では、一番多いのが手作業による可視化に多くの時間がかかっているというお悩みです。この他にグローバル標準のCFP計算ルールやバウンダリーに則った可視化をしたいといった課題や、CFPの計算方法が事業部サイドごとになっており本社側で把握できない、あるいは第三者認証を取得したいというニーズもあります。
システム導入の面で多いのは、数値は手作業などで取れていて今あるデータでなんとかしたいが、全製品CFP算出は手作業では限界が来ているのでツールを導入したいというものです。またソリューションが乱立していてどれを選んだらいいか分からない、というお悩みもあります。
業務拡張性では、LCAを取り巻く関連法規やデータ流通へ対応、CFP以外の業務領域とコラボできるようなシステム基盤といったお悩みをいただくケースが非常に増えてきています。
こうしたお悩みに対して、我々としては「積上型のCFP可視化システムをオーダーメイドしよう!」をオファリングの中心に据えています。

積上型のCFP可視化システムをオーダーメイドしよう!
これは端的に言えば「今あるデータで何とかしよう」というものです。例えばERPシステムから取れるデータでもいいので、ともかく既存のデータを取り込んで、労力をかけずにCFP計算を実現するやり方です。計算ルールを整理して、オーダーメイド型のシステムを導入することで、CFP計算の自動化が効率的にできます。具体的には、基幹システムの製品別の原価計算データ、工場単位での電気代といった今あるデータをなんとか加工して製品別の活動量に落とし込み、一定の排出係数を適用して排出量を算出し、BIダッシュボードで可視化をするという流れとなります。このように今あるデータを取り込んで、オーダーメイドで加工していこうという点が最大の特徴です。私たちは多くの実績を積み重ねておりますので、プロジェクトの立ち上げ、システム構想策定といった領域から導入まで、あらゆるフェーズでサービスを提供して、しっかり伴走支援できるというのが私たちの強みです。

提供するソリューションですが、特定のソリューションにはこだわらず、お客様に最適なITアーキテクチャをオーダーメイド型で作っていくものになります。実績あるものとしては、EPM(Enterprise Performance Management)ソリューションであるAnaplan、BIツールのTableau、データウェアハウスソリューションであるSnowflakeなどがあります。これに限らず皆様の会社で使われているツールでも対応可能です。このあたりはさまざまなエンジニアを抱えている当社ならではの強みと言えます。

オーダーメイドだからこその強み = 高い拡張性
オーダーメイドならではの拡張性について、Tableauでのソリューションを例にして説明していきます。
Excelのインプットを元に、CFP算定をTableau Prepでデータの加工と計算を行い、そのままTableauのBIツールに流し込んで可視化し、CFPの多い製品群を分析して原因を特定していきます。

高い拡張性の例として1つ目の強みとして他社パッケージ製品では実現できないような計算要件にも対応できる柔軟なデータ加工・計算処理ロジックがあります。例えば実際にあったケースでは、拠点ごとに異なるデータ形式を一括整形して統一することも、プロセス製造業における分配や循環といった複雑な製造プロセスに対応していくことも実現してきました。このように業界特有の課題に対しても、企業のデータコンディション、行いたい計算、業務プロセスに応じて柔軟にデータ加工やデータ処理ロジックが可能になるのが、オーダーメイイド型の強みの1つです。
2つ目の拡張性の強みが他情報とのクロス分析が可能なところです。例えばCFPと収益性をクロス分析することで、低利益で高排出量の製品を特定し、ポートフォリオマネジメントに活用することもできます。
3つ目の拡張性の強みとしては、他社とのデータ連携があげられます。CFP計算の究極的な目的は、企業間でデータを流通させることです。現在当社ではシーメンス社が提供するSiGREENを組み合わせることで、これを実現しようと考えております。
ネクストアクションをどう考えるか
CFPプロジェクトについては、計算が既にある程度できており、取引先開示や法規制を受けて、とにかくクイックにシステム化し、短期間で成果を重ねていくクイックウィンを重ねていこうというケースもあれば、その一方でほぼ検討ゼロだが、もはや業務的にやらなくてはいけないという切羽詰まった状況にあるケースもあるかと存じます。
当社としてはお客様の状況に応じて、最適な伴走を提供することが可能です。規制の最新動向の把握、CFPの目的明確化、お客様社内のデータコンディション、スケジュール、予算の状況、リソースの制約といったさまざまな条件を総合的に勘案しながら、これまでの豊富な経験に基づき、最適なCFP可視化プランをお客様とご相談しながら提案させていただければと存じます。お声がけいただけたら幸いです。
