ネットワーク/インフラを取り巻く状況
テクノロジーの変化や働き方の変化に伴い、インフラを取り巻く環境が複雑化しています。環境の変化の一例として、利用するクラウド数の増加、高度化するセキュリティ脅威への対策、ITインフラ更新や刷新、管理対象の増加や複雑化への対応があります。本セミナでは、管理対象の増加や複雑化への対応についてご説明します。
大企業における導入SaaS数を見ると、多くの企業で10個以上のSaaSが利用されています。また新型コロナ以降、大企業、中小企業に関わらずSaaS導入が増えています。また、IoTデバイス数も10年間で3倍以上増えると予測されています。市場としてもエッジ領域が数倍増えるという予測が出ています。このようにエッジからクラウドまでどの領域でも管理対象が拡大していき、管理対象をコントロールするサービスも多様化し、管理が複雑化していくと考えられます。
そういった中から出てくる課題としては、例えばIT資産が、物理的にあるいは論理的にどこに存在するのか、という管理が難しくなります。また、セキュリティ管理も難しくなり、多数の機器にパッチを当てるのも大変な作業になりますし、管理が甘いところが狙われてセキュリティ的な侵入を許すということにもなりかねません。開発・運用も難しくなってきますし、サービスの展開も困難を伴ってきます。そして対策を取ろうにも、それを取り扱える専門人材が不足するという問題も出てくると考えられます。そうした管理に関わる課題を解決するサービスとして、マネージドサービスがあります。
マネージドサービスは、ITシステムの管理や運用を行うサービスと言われますが、定義が定まっておらず、様々な使い方がされています。例えばデバイス、クラウド、ネットワーク、セキュリティなど、さまざまな領域で運用や管理が必要となってきますので、各領域でマネージドサービスが存在しています。
今後のネットワークやインフラのテクノロジー動向の大きな流れとして、ソフトウェアで定義する範囲が増えてくると考えられます。またAI の活用はますます増えていくでしょう。この他にも、ネットワーク領域ではゼロトラスト関連技術、新しい接続方式の活用が進むといった流れもあります。このようなさまざまな技術的な進展が複雑化を収束するかというとそうではなく、新たな技術導入に伴って管理対象がさらに多様化していきます。そして複雑化が増してしていく環境ではパッチワーク的にバラバラに管理を行うのではなく、マネージドサービスを使った統合管理が重要になってくると考えています。
マネージドサービス(Mana PlaS)の取組事例
Mana PlaSは、NTTデータ ネットワークソリューション事業部の業務のデジタル化に使われているマネージドサービスです。事業部では、ネットワークやセキュリティ等のインフラをデザイン・構築し、サービスとして提供することで、マルチキャリア・マルチベンダ・マルチサービスで最適なサービスをお客様に提供するとともに、フルアウトソーシングによりお客様のITインフラ運用業務を軽減しています。こうした業務で、Mana PlaSをマネージドサービスのプラットフォームとして利用しており、17万の回線、15万台の機器、800社を超えるお客様のインフラを管理しております。
このMana PlaSは、社内ITインフラ運用を可視化・効率化することでDXの推進を実現するサービスです。
主要な機能としては、構成管理、オーダー・問い合わせ管理、故障管理、作業日程管理があります。
インフラ領域のエコシステムとして、キャリアサービス、クラウドサービス等の多様なサービス、データと連動し、多様なお客様から得られる情報を集約し、蓄積されたビッグデータをもとにした新たな価値創出を目指しています。
デジタル化の対象領域としては、提案工程から保守までの各工程をカバーします。各工程で蓄積したデータをビジネスに活用しており、例えば構成・故障情報のリアルタイム提供、自動見積もりなどに取り組んでいて、お客様の顧客体験の向上、従業員体験の向上を目指しています。
取組事例~構成管理
構成管理は、構成情報が実態と合わず、正確な情報を把握するのに時間が要する、誤った情報をもとに作業してしまい手戻りや故障復旧の遅れが発生する、こういった課題に対して、「拠点一覧」「回線一覧」「機器一覧」等の構成情報をダッシュボードに表示するというサービスです。
下が実際の画面です。トップ画面ではすべての拠点がGoogleマップ上にピン表示され、マップ上でエリア毎の拠点数を表示します。マップから参照したい拠点情報画面にダイレクトに画面遷移できます。拠点の情報は表形式でも一覧の形式でも表示でき、住所や拠点名に素早くアクセスすることができます。
拠点をクリックすると、その拠点で利用している回線や機器の情報、くわえて過去に発生した故障履歴も確認できるようになっています。
現在取り組み中なのが、XaaSの多様化やIoTデバイスの増大に応えて、より統合的に管理するためのプラットフォームづくりです。エッジを含む構成管理から故障管理、さらにはエッジの管理や制御までを実施していく方向性で取り組んでいます。
取組事例~故障管理
故障管理は「情報連携が多段になりステークホルダに迅速に情報を伝えることができない」「過去の故障対応の情報が残っておらず、振り返りや改善に活かせていない」などの課題に対して、故障発生時の経過を可視化・記録し、ダッシュボードに表示するサービスです。
弊社運用ヘルプデスクにて対応している故障の中でも、迂回によって通信自体は問題なくできている拠点の数、あるいは副回線がなかったり、副回線経路でも通信NGの拠点を瞬時に把握できます。
構成管理と同じくGoogleマップ上にピン表示され、故障範囲が瞬時に把握できます。また、状況を把握すべき拠点名の一覧を表形式で参照できます。さらに故障情報は拠点名や対応ステータスなどさまざまな項目で検索可能になっており、現状だけでなく復旧済みの過去の故障履歴も確認可能です。
この他にも弊社の内部的な取り組みとして、自動起票があります。 インシデントを自動的に起票し、初動対応を迅速化することによって、発生日時、拠点情報、機器情報といった故障関連情報を瞬時に紐づけ、顧客向けダッシュボードに素早い連携が可能になっています。
また、ネットワークの大規模故障発生時の影響拠点の一括管理機能という機能も持っています。台風、地震などの災害やキャリアの局舎故障といった大規模故障の影響拠点情報をリアルタイムに表示できるような仕組みです。
取組事例~コミュニケーション管理/作業日程管理
私の組織では多数のネットワーク回線工事や機器設置を行っておりますが、「回線工事や機器設置工事といった複数オーダーのステータスや計画が瞬時に把握できない」「工事に必要となる情報の授受がメールに埋もれてしまう」といった課題があります。
コミュニケーション管理/作業日程管理はこうした課題に対して、工事オーダーのステータスを可視化することで、ベンダや関連部署との調整をスムーズに行うことが可能になるサービスです。
拠点単位での工事の状況を瞬時に把握することができ、より詳細な作業予定日、立ち会い者情報、入館申請対応状況、作業者情報を参照、入力可能になっています。
今後の取り組みとして、従来のメールや電話にかわってお客様、キャリア様、ベンダ様がダッシュボードにログインして依頼や問い合わせを実施するとか、お客様のITSMシステムと連携してコミュニケーション内容をMana PlaSで一元管理できるようにすることを目指しています。
まとめ
複雑化するインフラ管理のためには、パッチワークではなく統合的な管理が必要であると考えております。拡張・多様化するオープンなネットワークあるいはセキュリティ環境およびデバイスをMana PlaSで一元管理し、ネットワークアウトソーシングサービスとしてトータル提供をしています。
管理の統合の事例についてご説明してきましたが、技術要素も1つ1つパッチワークでつなげていくのではなく、統合化していく方向性があるのではないでしょうか。NTTデータはインフラレイヤからアプリケーションレイヤまでトータルで統合できる数少ない企業の1つであると自負しております。
Mana PlaSはもちろん、IT全般で何かございましたら、ぜひ弊社にお声がけいただければ幸いです。