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新規事業開発における成功再現性を向上させるための 受付終了
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NTT DATA Next Gen Future vol.35

新規事業開発における成功再現性を向上させるための"三位一体" とは?

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新規事業開発において自社内に実績はあるものの、属人化していたり、事実としてのみ存在するものにすぎず、なかなか生まれない新規事業や、やめどきを失った事業に苦悩する事業開発部門も少なくないのではないでしょうか。 “総合格闘技” たる新規事業開発において万能の成功原理は存在しませんが成功再現性を高めるためのやりかたは存在します。事業共創カンパニー Relicの大丸徹也取締役とともにNTTデータのイノベーションエコシステムデザイナーの西村がこの『やりかた』に迫ります。

このような方におすすめ

  • 新規事業開発に従事しており苦労されている方
  • 事業開発人材の育成や、組織/制度設計に悩まれている方

株式会社NTTデータ 法人コンサルティング&マーケティング事業部 部長 西村 祐哉

NTTデータ、ライブドアを経て起業。スタートアップ経営者としてターンアラウンドを担当。その後国内独立系コンサルティングファームにて戦略・ビジネス等のコンサルティングや日本電気株式会社(NEC)で海外スマートシティ事業開発や共創型の新規事業創出に従事。2021年より現職に”帰還”。イノベーションエコシステムデザイナーとして新規事業や事業開発支援にとどまらずイノベーション人財の育成・教育や組織づくり、プロセスや制度の整備といったエコシステム形成も担当。

株式会社Relic 取締役CRO (Chief Relationship Officer) 兼 株式会社CAMPFIRE ENjiNE 代表取締役 大丸 徹也

フューチャーアーキテクトにてITコンサルティングやシステム開発のPMを多数経験した後、DeNAに入社し、主にEC領域での新規事業や大手小売業とのオープンイノベーションによる新規事業責任者を歴任。その後Relicを共同創業し、現在は全社横断でステークホルダーとの接点や関係性を強化するミッションを担い、取締役CROを務める。

セミナーレポート

新規事業開発における成功再現性を向上させるための”三位一体”

司会「先日、NTTデータと事業共創カンパニーRelicさんの間で新規事業の立ち上げに関する業務提携を発表※しましたが、NTTデータの西村さんとRelicの大丸さんに、新規事業開発についてお話をお聞きしたいと思います。
まず新規事業開発にはどんなスキルセットが必要でしょうか?」
※ニュースリリース:https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2023/120700/

西村「まずRapid-素早くですね。次にSpread-広がる、事業がちゃんと続いていくようにすること。そしてReproductivity-まぐれ当たりの一発屋じゃなくて成功をまた再現できるような定型を持つことです。Relicの大丸さんとも定型づくりをやっていきたいとお話してきました」。

大丸「はい、私たちは【3つのシコウ力】という言葉をよく使っています。1つ目が志に向き合う【志向】、2つ目が考える【思考】、3つ目が試す【試行】です。今回の提携では主に大企業の新規事業開発を対象に、【試行】の部分をいかに小さく早く安くできるかにフォーカスして取り組んでいます」。

司会「今回、成功を再現していくための定型として、三位一体についてご説明をお願いできますか?」。

西村「1つ目の要素がエコシステムの拡張です。ここでは輪の形成-仲間を作って共感を形成しながらやっていくこと。場の獲得-試してみる場を作ること。名の発信-途中経過をちゃんとプロモーションして発信していくことが重要です。
2つ目の要素が継続的な成功を支えるメソッド形成です。まずはマインドセットです。それだけだと気合と精神重視の自己啓発セミナーになってしまいますが、組織変革をする力としてマインドセットは重要なものです。そして的確なツール選び、さらにプロセスの確立です。プロセスに関してはお客様の既存プロセスがあまりにも厳しすぎる場合があり、新規事業を作って進めやすいプロセスにしましょう、ということがあります。
3つ目の要素がアクセラレーション機能です。新規事業をつくる人たちが孤立しないように伴走して支えて、事業化を加速し、事業価値を広げ、成功再現性を高めていきましょうということです。
この3つが一体となることでより良い新規事業開発が可能になると考えています」。

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司会「今回、業務提携を発表したわけですが、お2人にはお互いの企業の魅力や2社がパートナーとなったことによるお客様への新たな提供価値をご紹介いただきたいと思います」。

西村「まず新規事業に対する価値観や方向性で共感するところが強く、End to Endで最適な共創と補完関係ができると考えました。そして2社共通の強みということでアクセラレーション-事業化加速支援と、イノベーションマネジメント-仕組みづくりで良いパートナーになれると考えたのが決め手です」。

大丸「私たちRelic2015年に創業して新規事業の自社開発、企業様の事業開発の支援、共同事業開発など、事業づくりに邁進してきましたが、属人性の排除や標準化にパワーをかけきれていない課題がありました。NTTデータさんと接点を持たせていただいて、標準化を最初から思考している設計思想に共感したのが大きいです。NTTデータさんのこうしたフレームや標準化の部分と、Relicが持ち味とする試行する力を組み合わせればお客様により良いものを提供できるのではないかと思いました」。

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司会0から1を生み出すNTTデータと1から10を生み出すRelicは、良い組み合わせだなと外から見ても思います。ではRelicさんの事業プロデュースの特徴をご紹介お願いします」。

大丸「ビジネスの面、テクノロジー&クリエイティブの面、事業開発の0→111010100の全フェーズを一気通貫で、かつ内製体制で対応できることが大きな特徴です。今向き合っている事業がどこのフェーズで、何を検証していて、次に何をすべきなのか、羅針盤を使いながら前に進めていくことができます。ひとつの企業内で複数の事業が並行して走るケースにおいては、今自分が何をしていて他チームがどこにいるのかをプロットしていくことが重要かと考えています。またアジャイルプロトタイピングラボ(APL)という名前で、最適なプロトタイプを提案・実装し、クイックに試していくという手法を提供しています」。

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司会「受講者の方からご質問が来ています。『新事業創発のテーマ探しに苦戦しています。すでに誰かしら取り組んでいるものが多く、どのようにテーマ探しをしたら良いでしょうか? 』 というご質問です」。

大丸「例えば教科書的なやり方で、半年なり1年かけて定義を進めて上申したとして果たして予算がつくかと言うと、そうはなりません。まずは成功事例や成功の兆しを見せる活動が重要です。アイディア出しにはマーケットドリブン、あるいはシーズ起点・技術起点があります。私たちがよくやる方法がありまして、それは資金調達済みのベンチャーさんのデータ100万件以上から、どういった顧客のどういった課題がどういった提供価値によって解決され、それにどのくらいのバリューがついているかを逆引きして、自分たちが目指す方向性に近い事業や企業を参考にします。もうひとつが技術ドリブンですが、これは自分たちの知財やRDの成果物から解決できそうな課題は何かを考え、最終的にターゲットになるお客様を見つけるという手法です」。

西村「アイディアが見つからないというお悩みに、少し切り口を変えてお話しますと、例えば皆さんおなじみのネット通販の仕組みがありますが、唯一無二のものしか生き残ってないか、というとそんなことはないですよね。複数のプレーヤーがそれぞれの持ち味や強みを活かして切磋琢磨しています。ですので、アイディア段階で唯一無二のものすごいものを作ろうとするのではなく、ビジネスモデルをしっかり掘り下げて、自分たちが勝てる・儲かるビジネスモデルを作り上げるというところも重要だと考えています」。

 

ビジネスデザインスプリントと、FORTH INNOVATION METHOD

司会「そういった背景を踏まえて、今回の本題であるビジネスデザインスプリント(BDS)FORTH INNOVATION METHODについて、ご紹介を願います」。

西村「簡単に言うと、いい意味で属人性を排除し、普通の人や初心者でも組織的に新規事業開発をしっかり行っていただくための手法です。
FORTH INNOVATION METHODは、0→1の部分で、何もないところからアイディアを生み出し、それをビジネスコンセプトまでリアリティを高めるための世界的に実績のあるグローバルなメソッドです。NTTデータの中の事業開発やお客様との共創の中でも実際に使っていますので、非常に実績あるものだと考えています。
一方のBDSはNTTデータ独自のもので、オーセンティックなプロセスを極力シンプルに解きほぐそうというものです。世の中にはビジネスモデルキャンバス、バリュープロポジションキャンバス、ジョブ理論といったフレームワークが既にありますが、少々敷居が高い面があります。そこでもう少しシンプルなもの、初めて新規事業に取り組む人でも自分たちのアイディアの見極めがつくようなものがあれば、ということでNTTデータ内部の試行錯誤をメソッド化したものになります」。

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西村FORTHについてもう少し説明しますと、オランダのマーケッターであるハイス・ファン・ウルフェン氏によるイノベーション創出メソッドなのですが、プロセスがRPGのマップのようになっていて、20週かけて5つのプロセスを辿っていくと、だいたい3つから5つの新規事業を作りきれるというメソッドになっています。その中でアイディエーションとかリサーチのやり方なども自然に体得していけます」。

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西村「一方のBDSNTTデータの現場のボトムアップで作ってきたものです。私たちの中では『ドリル』と呼んでおり、問いに対して間違ったらその直しを行ったりして、新規事業の解像度を上げていくことができるものです」。

司会「新規事業開発において数をこなさなければいけない時に、必要なフレームワークに当てはめていくだけでは十分ではなく、いかにスピードを早く回せるかが重要だと実感していまして、このBDSはビジネスに必要な27項目のQAに答えていくと出来上がります。数をこなして実力を高めると言う意味では『ドリル』という呼び方は非常にしっくり来ます。大丸さんから見てNTTデータのプログラムはどう思われますか」。

大丸「頭の中でこねくり回して考えるのではなく、まずは強制的にでもアウトプットしてみることができる空間だと思います。これまではリーンキャンバスやビジネスモデル図など、新規事業の企画書を作る段階で悩む時間が多かったと思いますが、BDSではとにかく前に前に、強制的に背中が押されるような感じでいつの間にか全部を経験しているというのが、すごくいいなと感じました」。

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司会「ここで受講者の方から質問です。『こういうことを日々実践すると、新規事業のヒントにつながる、という経験上のアドバイスはありますか?』。お2人いかがですか?

大丸「ネガティブなニュースや未解決の課題を見たときに無理やり怒ってみる(不満を言語化してみる)というのは結構面白いアプローチかなと思っています。こうやったら解決できそうなのになぜ誰も挑戦しないのだろうと、ちょっと怒ってみる。一方でリスクも見えてくるし、そういうサービスの弱点も見えてきますので、方法としてありかなと思います」。

西村「自分ですと、ニュースを見て、誰かに自分はこう思うんだけど、そっちはどう思う?とかネタとして共有していったりします。また本当にそのニュースに興味が出たらその人に直接聞いてみようみたいなフットワークの軽さも時には必要かなと思います」。

Business Design Sprint Prototyping Camp

司会「では今回共同でリリースした『Business Design Sprint Prototyping Camp』についてご紹介ください」。

西村「さきほどご紹介した通りFORTHBDSを組み合わせて商材としたものです。元々はNTTデータ社内のビジネスコンテストのサポートプログラムとして作ったBDS Field Tripという、1日でアイディアの発散から収束までのプロセスを行うものなのですが、これがローンチから1年半で社外も含めて40件以上という、ワンデーのワークショッププログラムからするとビックリするほどのヒットを飛ばさせていただきました。とはいえペーパー上のものなので次はどうすればいいか、ということでRelicさんのアセットと組み合わせ、Day1NTTデータのワンデー・ワークショップを行い、Day2ではRelicさんのプロトタイピング手法であるAPL(アジャイルプロトタイピングラボ)で、アイディエーション及びプロト制作プログラムを行うというのが、Business Design Sprint Prototyping Campです」。

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大丸Day1では強制的にアイディアを作り、Day2では強制的にWebやアプリサービスの画面イメージまで作りきります。2日間でここまで本当に行けるところがこのワークショップの価値だと思います。そしてこの後は、お客さんに当ててみましょうということで、ビジネスにしていくにあたっての事業計画を見直してみましょうといったアプローチがDay3以降に続いていきます。短期間でここまで行くことができます」。

西村「もちろん企画にアラとか課題はあるんですが、ここまで行ったら次に行けるし具体的な課題も見えてきますね」。

大丸「はい、ここまで作ってみたけどやっぱりこれはダメかなという見極めがつくのも大きなポイントかもしれません」。

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まとめ

司会「こちらの図のようにビジネスの立ち上げから、事業構想、事業構築、事業化、成長・拡大といった流れを、両社のいいとこ取りでサポートするようなプログラムになっています。その立ち上げ部分にフォーカスしたのが今回の『Business Design Sprint Prototyping Camp』です。その他に双方の得意分野を活かしたさまざまなサポートがあるわけですが、なかでもRelicさんのDUALii(デュアリー)というサービスについてご紹介願えますか」。

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大丸DUALiiというのは、新規事業の代行サービスです。特に大手企業が新規事業にチャレンジする際に、自社ブランドが強くステークホルダーがたくさんいらっしゃるので、うまくいくか分からない新規事業を自社の冠をつけて世にリリースすることが難しいという課題があります。上層部からはエビデンスを要求され、エビデンスを作ろうとしたらサービス品質委員会でコテンパンにされるというお話もよく伺います。そこでRelicが一度アイディアをお預かりして事業主体として世にリリースします。顧客の反応が良ければ元の企業様にエビデンスとセットでお返ししますし、結果が悪かったらそのままRelicがクローズするというものです」。

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西村「新規事業をやっていくためには人材を育てることが必要で、それが今回私たちの業務提携によって一気通貫で行えるようになったということが大きいと思います。今回の『Business Design Sprint Prototyping Camp』を入り口として興味を持っていただけると幸いです。新規事業に関する悩みはずっと続いていくものですので、『NTTデータ×Relic』にお声がけいただければと思います」。

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