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なぜ業務改革は成功しないのか ーデータドリブン経営に必要となる新たな改善手法プロセスマイニングー 受付終了
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NTT DATA Next Gen Future vol.32

なぜ業務改革は成功しないのか ーデータドリブン経営に必要となる新たな改善手法プロセスマイニングー

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企業のグローバル化に伴う業務のサイロ化や、業務ヒアリングで生じるバイアスなど様々な要因から、業務改革で必須である業務プロセスの可視化・課題の把握を正確に実施することはますます困難になっており、また業務改革の範囲が、グループ・グローバルへと広がれば広がるほどその効果を測定することが難しくなっています。 本セミナーでは、従来の手法による業務改革ではなく、プロセスマイニングによるデータドリブンでの新たな業務改革手法について紹介します。また、事例紹介では、プロセスマイニングを活用して業務改革を推進されている企業をお招きし、実践事例をご紹介いただきます。

このような方におすすめ

  • 調達部門、購買部門のご責任者様
  • 経営企画部門、情報システム部門のご責任者様
  • 業務改革を推進されるご責任者様、担当者様
  • DXの推進、業務改善に課題をお持ちの方
  • 監査や内部統制組織のご責任者様、担当者様

株式会社クニエ パートナー ビジネストランスフォーメーションチームリーダー 坂本 さやか氏

外資系コンサルティングファーム、フリーランスのコンサルタントを経て、2009年に株式会社クニエに入社。サプライチェーン改革・調達改革・営業改革など、多くの企業のコンサルティングに従事。現在は、クニエにて、調達購買改革、間接業務構造改革のソリューションをリードし、製造業やサービス業など幅広い企業の業務改革を支援。

日本たばこ産業株式会社 調達室 次長 稲田 聖彦氏

1999年、JT入社。国内外でのたばこマーケティング&セールス部門、CSR部門、加工食品部門を経て2019年より間接材購買部門に所属。間接材調達の全体戦略に従事した後、JTインターナショナルとの調達規程・プロセス統合PJをリード。2023年4月よりJT本社に調達室を立ち上げ、全社的な調達ガバナンス強化、業務最適化等の基盤固めを実行中。

株式会社NTTデータ ソリューション事業本部 デジタルビジネスソリューション事業部 池田 岳大

2008年に株式会社NTTデータに入社。決済システムの開発・運用・AMOを経験後、BPOの提案・移管設計及び新規案件の企画に従事。その後、RPAを中心とした業務効率化を推進し、現在はハイパーオートメーション領域でプロセスマイニングを活用した業務変革に取り組んでいる。

株式会社NTTデータ 金融戦略本部 金融事業推進部 技術戦略推進部 溝渕 隆

2005年に株式会社NTTデータに入社。メインフレーム・オープンの両システム技術に精通し、金融機関の大規模モダナイゼーション案件にアーキテクトとして複数参画。レガシー領域の業務を可視化するプロセスマイニング・アセット「PickelEye®」を開発しサービス展開中。

セミナーレポート

データドリブン経営に必要となる新たな改善手法プロセスマイニング

株式会社クニエ パートナー ビジネストランスフォーメーションチームリーダー
坂本 さやか氏

IMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)の世界競争力年鑑2022年版によりますと日本は競争力ランキングで34位となっています(※2023年版では35位)。その主な要因の1つとしてビジネス効率性の低下があげられます。特にビジネス効率性では7項目で最下位となっており、時代や市場の変化についていけていないという現状が見て取れます。

日本企業は時代の変化やIT ツールの革新に合わせて様々な業務改革にチャレンジはしてきました。しかしなかなか成果があがらないケースも多いと思います。

これまで私たちが業務改革を支援してきた経験から、業務改革の成功を左右する重要項目は4つあると考えます。
業務改革の推進側としては、改革が実行できる体制や権限と、改革施策を推進していくメンバーの資質。
業務改革を受ける側(業務部門や現場)では、変革へのボジティブな協力体制と、・正確性・網羅性のある情報提供です。
この4つがうまく噛み合っていく必要がありますが、業務改革を受ける側をうまくロールできなかったり、協力いただくのに相応の時間を要したりする、いうケースが出てきます。

例えば多くの企業では、良く言えば慎重とも言えますが、変化への適応が苦手な傾向が見られます。また今までの組織間の所掌範囲・権限を越える改革というものには、一定の抵抗感があると思われます。こうした結果、変革への協力に慎重、もしくはネガティブになってしまい、情報を出すことに抵抗感を持たれたり、情報のバイアスがかかったり、組織や担当者の業務の分断などもあったりして、曖昧で限定的な情報提供にとどまってしまうことも少なくありません。

そうしますと、業務改革推進側の課題抽出や解決策が不十分なものとなり、その結果、業務改革を受ける側に納得できる提案ができず、さらに協力体制が難しくなるという「負のスパイラル」に陥ってしまい、プロジェクトの推進に時間を要してしまう、というのがよく見られるケースです。

また一部の業務領域や部署に限られた改革であれば、相応の時間をかけることによって改革は可能ですが、昨今、全社改革、全グループ改革、グローバルでの改革と、業務改革のスケールは拡大していくことが多くなっています。現状調査やヒアリングすべき範囲が広くなり、情報把握が困難になりつつあります。

こうした課題を背景として、プロセスマイニングというソリューションの活用の場面が出てきます。
プロセスマイニングは以前から存在していましたが、コロナやDXなどを背景に多くの業務がシステム上で行われるようになってきたことで、活用の余地が広がってきていると感じています。

プロセスマイニングをご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので、プロセスマイニングでできることの例を下に4つ上げております。
まず、プロセス全体における自動化率を見ることができます。次に処理の流れ、プロセスパターン、処理時間を把握することができます。アクティビティごとの発生頻度なども可視化して見ることが可能です。そして部門やコストなど属性別の比較やソートをすることによって分析が可能になります。

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プロセスマイニングを利用した業務活用アプローチについて説明します。
業務改革の最初に行われるプロセス調査、現状調査、業務フロー作成、業務分析などを自動的に収集していくことで、スピーディに正確な情報を取得し、業務改革の速度を早めていくことが可能です。
ただしプロセスマイニングではシステム外の処理などは取ることができませんので、それ以外から取得する部分も組み合わせていくことが必要です。

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またプロジェクトの支援などをさせていただくなかで、プロセスマイニングには業務プロセス改善だけでなく、システム導入後の運用安定、モニタリニング、内部監査、グループガバナンス、要員スキル・パフォーマンスン管理など、さまざまな活用可能性があると感じています。

下の例ではシステムが今どんな処理を誰が行っているのかという処理のログデータを取り、トランザクションデータの可視化によってプロセスパターンや時間・頻度などを見て、根本的な業務プロセス改善に活かしていますが、ログは日々取っていますので、これを日々の問題処理を自動検知するという使い道も出てきます。

例えば業務システム上のオペレーションミスやシステムがコントロールできないようなルール違反などを自動検知して、将来的な手戻りや重大なミスにつながるリスクの軽減にも活用できます。

今回はJT様には、日々の問題処理を自動検知する事例をご紹介いただき、NTTデータからは蓄積したデータからのプロセス改善の事例をご紹介いただきます。

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まとめとなりますが、今日グループ、グローバルを含めた統制や改革が求められていますが、広範囲な情報収集はいろいろな面で限界があります。プロセスマイニングを活用して、定量的かつ自動的に情報の収集や分析を行うことは今後さらに必要になっていくと思っています。

JTグループの調達シェアードサービスを支える業務改善ツール

日本たばこ産業株式会社 調達室 次長  稲田 聖彦氏

最初にJTグループのDX推進ロードマップをご紹介します。
弊社におきましても競争力強化のためにはDXは重要な役割を担うと認識しており、グループ全体でさまざまな取り組みを推進しています。プロセスマイニング、AI-OCR 、RPAといったテクノロジーはシェアードサービス会社である「JTビジネスコム」各グループで検証を行った後、ステップ2としてJTビジネスコム内での展開、そしてJTグループへ全体への展開というステップとなっております。

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JTビジネスコムは、人事領域、財務経理領域 そして調達領域における「シェアード機能」として2017年4月に設立されました。
なかでも調達グループは、JT 本体ならびにJTグループ計13社からの間接材の調達業務を集約しており、サプライヤー様への見積もり依頼、発注、請求処理を受託しております。今回、調達グループにおいてプロセスマイニングツールである「Celonis」を導入しております。

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プロセスマイニングの活用事例ですが、今回の試行導入では、業務プロセスの全網羅的なログデータを取得しますと分析にかかる時間工数が多くなり、プロセス改善・効果確認まで時間と労力を要することから、業務担当者に直接ヒアリングを行い、抽出された課題に対して業務へのインパクト、そして解決までの時間という2軸で優先度をプロットして決定するということを行いました。
これにより一般的なアプローチに比べて短時間で高い効果を得ることができると我々は考えました。

ヒアリング後の課題優先順位付けのマトリックスを図に示します。
横軸の「価値インパクト」というのは、具体的には会社の目標にどれだけ合致しているかという戦略要素と、その課題が実際に解決できるのかというポテンシャルの要素です。
縦軸の「価値創出までの時間」というのは、データを特定可能なのか、行動をログとして定義可能なのかという技術要素です。ここに業務有識者を巻き込むことができるか、あるいは業務責任者がいるのかという参画の要素を加えています。

図の右上にある価値インパクトが大きく、時間要素が短い領域を今回第一優先としてプロセスマイニングを導入しました。

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抽出した課題を実際の購買プロセスに落とし込んだのが下の図です。
これらのさまざまなプロセス課題はシステム機能では制御できない、解決できないと考えております。弊社では調達システムにSAP Aribaを使っていますが、そもそもプロセス制御機能を有していないこともありますが、調達システム機能ではカバーしきれない現状があります。

例えば、発注者が承認や検収をしてしまうという調達ルール違反の課題では、拠点のなかには社員数が極端に少なくてそもそも発注担当、承認担当という役割設定ができないという拠点事情もあったりします。またログ上では重大ミスやオペレーションミスと判断されたとしても、何らかのそうせざるを得なかった理由がある場合も生じます。
そのためこれを一概にシステムで制御して差し戻しをすると、結局は調達分野へのエスカレーションとして跳ね返ってくることになりかねません。

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そこで我々としては、課題が発生する箇所にプロセスマイニングを入れて、アクションアラートを毎日受領する形を取っています。調達グループの担当チームが内容を確認して、課題の顕在化を未然に防止するとともに手戻りを防ぐことで工数やリスクを未然に軽減しています。

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プロセスマイニングツールCelonisの具体的な自動検知についてご紹介します。
発注者自身が承認・検収・請求登録してしまうという調達ルール違反の自動検知では、ポイントごとにCelonisを入れ、注文書ごとに誰がアクションしているかのログをとり、実際にルール違反と分かった案件には該当者に注意やチーム内で共有して、調達ルールを徹底しています。

オペレーションミスや重大ミスの検知は、例としては二重支払いや、部分検収でオーダーが終了して以降のトランザクションができなくなるようなオペレーションミスがあります。二重支払いの検知では、サプライヤーさんの名称、請求金額、請求日付が合致しているものを怪しい案件として抽出し、調達オペレーション側で確認しています。部分検収ではオーダー完了した案件を抽出し、それを調達部門でチェックしてミスであれば是正の要請を行うようにしています。

JTビジネスコムでの処理滞留の検知については、Celonisはプロセスのなかで担当案件受付、発注内容確認、承認までの3つのプロセス間の時間をモニタリングし、上限の設定時間を超えるとアラートメールが発信されるよう設定しています。

プロセスマイニング導入のポイントですが、実感したのが現場の導入に際しては現場の巻き込みと理解獲得が不可欠だということです。個々人の業務ログを取得し可視化するということで、モニタリングされていることへの抵抗感を持つ方も少なからずいらっしゃいましたが、ソリューションの必要性と効果を丁寧に説明していくことが肝要だと実感しています。

今回の試行導入では、主に顕在課題の確認とその対応を実施していきました。もっと広域にログを取って検証していけば潜在的な課題、つまり我々が今課題として認識していないものもきっと発見できるであろうと思っております。引き続きCelonisを用いて潜在課題の解決アプローチにも取り組んでいく予定です。

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業務改革の一歩に!NTTデータらしいプロセスマイニングの取り組み

株式会社NTTデータ 池田 岳大
株式会社NTTデータ 溝渕 隆

ここまでプロセスマイニングについてご説明してきましたが、NTTデータのプロセスマイニングビジネスの特長は3つあります。
1つ目は、業務分析にとどまらず業務全体の最適化に向けて、改善提案や運用まで一気通貫でのサービス提供できることです。
2つ目は、特定ソリューションに限定せず、スクラッチシステムにも対応できることです。
3つ目は、国内初のCelonis トップレベルパートナーである「Platinum Partner」としてCelonis社と強固なリレーションシップを持っていることです。

Celonisの事例としては、NTTデータの従業員向けのコンタクトセンターの運用プラットフォームにCelonisを適用しWebの改善を行いました。
これまでもWeb画面のレイアウトなどの改善を継続的に行ってきましたが、実施した施策の有効性の評価が難しいという課題がありました。そこでCelonisを使ってユーザーの操作分析を行いましたところ、FAQ閲覧後に問合せ起票せずに自己解決している事が多いことからFAQが有効であることが分かりました。その一方で、問合せチケット起票画面で、入力する件名に応じて画面に表示される「提案FAQ」の閲覧率が極端に低いことも分かりました。そこで提案FAQ閲覧を促すように画面レイアウトを改修しました。
またCelonisを活用することでポータル画面の運用チームからは、今まで改善しても見えなかった効果が見えるようになったということで、運用改善に対するモチベーションにつながったことも成果だと考えております。

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次に弊社独自のプロセスマイニングソリューション「PickelEye®」とCelonisの連携についてご紹介します。

現場で実際にプロセスマイニングを適用しようとする場合、いくつかの壁に直面します。というのも日本のシステムの特徴として、大半がスクラッチシステムで開発されているという実情があるからです。この他にもメインフレームが残存し現役で稼働しているという特徴もあります。

実際にスクラッチシステムにプロセスマイニングを適用しようとする場合、スクラッチシステムでは業務単位で個別最適化されたシステムになっていますので、部署や処理ごとに出力されるログがバラバラとなります。この他にも、そもそもログのフォーマットの設計がないとか、ログの切れ目が分からないといった課題に直面します。またプロスセスマイニング用に出しているログではないのでノイズが多いといった課題もあります。

そこでスクラッチシステムにプロセスマイニングを適用する時、前段階でAIと同様にログの前処理、つまりバラバラのログデータを分析可能な形に変換することが必要になってきます。この段階で挫折してしまう日本企業のユーザー様が多いのが実情です。さらにノイズの多いログデータからはヒトには理解できないような業務フローが生成されてしまいます。

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弊社ではこの壁を越えるためのソリューションとして「PickelEye®」をご用意しております。特許出願中の独自手法により、ログデータをクレンジングすることでバラバラなログデータから理解可能な業務フローが生成可能です。

導入実績としては、スクラッチシステムに対して適用した例がほとんどで、うち2-3割はメインフレームシステムのマイニングです。日本企業ではやはりスクラッチシステムに対するマイニングの需要が高く、銀行から不動産まで幅広くご導入いただいております。

最後にまとめとなりますが、Celonisのプロセスマイニングをどのような領域にでも適用できるのがNTT データの強みです。スクラッチ開発により複雑化したレガシーシステムに対しても、プロセスマイニングの導入支援が可能ですので、2025年の崖を越えるお手伝いをさせていただければと思っております。

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