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企業間の壁を越えた次世代デジタルサプライチェーンの実現   ーサプライヤーとの共創プロジェクト推進の秘訣ー 受付終了
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NTT DATA Next Gen Future vol.29

企業間の壁を越えた次世代デジタルサプライチェーンの実現 ーサプライヤーとの共創プロジェクト推進の秘訣ー

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サプライチェーンを取り巻く環境はますます複雑性を増し、不安定化が進行しています。さらに、新たな環境規制やカーボンニュートラルへの対応などの必要性も加速しています。そのような状況において、強靭なサプライチェーンの構築には、企業間の壁を越えた確固とした情報連携が必要になっています。 本講演では、サプライヤーなどの社内外のステークホルダーとの相互の最適な情報連携に向けた、ソフト・ハード両面での推進ポイントをご紹介します。NTTデータとAnaplanの連携で、より効果的なサプライチェーンの高度化に貢献できることをご実感いただけます。

このような方におすすめ

  • 企業間の壁を越えたサプライチェーンの変革に興味をお持ちの方
  • サプライヤーとの情報連携に課題をお持ちの方/どう進めるのが良いか知りたい方

株式会社NTTデータ 法人コンサルティング&マーケティング事業本部 久保 瑛司

機械メーカーで一貫してSCM計画領域に従事し、需給計画立案や調整、ITシステム導入、欧州統括拠点におけるグローバル需給管理の経験を経て、NTTデータへ入社。SCMコンサルタントとして、企業間連携業務に関する、顧客課題の抽出から構想策定、PoC推進、業務要件定義、システム構築までを支援。

株式会社NTTデータ 法人コンサルティング&マーケティング事業本部 中村 達也

NTTデータに入社後、R&D部門にて情報系システム技術を中心に幅広い業界の案件支援を経験。 現在所属する法人コンサルティング&マーケティング事業部では、ITアーキテクトとして「iQuattro®」を大手製造業などに展開。プロジェクトのデリバリだけでなく、データ活用支援、および新規サービス企画・開発による価値創出に従事。

Anaplan Japan株式会社 大場 達生氏

2016年Anaplan Japan立ち上げ時より多くのお客様でのAnaplan導入を技術面から支援。現在は日本におけるプリセールスチームの総責任者。20年以上に渡り、データアナリティクス、プランニングソリューションの導入コンサルティング、ソリューション提案に従事。

セミナーレポート

企業間デジタルサプライチェーンの実現について

-サプライチェーンを取り巻く環境、事例/ソリューション紹介-
株式会社NTTデータ 久保 瑛司

サプライチェーンを取り巻く環境の変化としては、大きく2つの観点から複雑化・不安定化が進んでいます。

1つ目の観点は「リスクの増加」です。コロナ禍における企業活動や顧客の需要な大きな変化、地政学的リスクの増加に伴う原材料の高騰や部品調達の制約、異常気象や自然災害の増加などにより、サプライチェーンのリスクは非常に高まっています。

2つ目の観点は「新たな社会価値への対応」です。カーボンニュートラル社会の実現におけるCO2排出量の可視化、人権問題やリスクへの対応、化学物質の環境規制の強化などの必要性も同様に高まってきております。

こうした複雑化・不安定化するサプライチェーンのなかで企業が安定して事業を行っていくためには、必要なタイミングで必要なヒトが適切な情報を得ることがますます重要になっております。我々としては、エンド・ツー・エンドでのサプライチェーンの情報の可視化と共有化が今後必要とされ、それによってさまざまな企業活動でデータに基づいて意思決定の高度化やスピードアップが可能になると考えています。

具体的にはサプライチェーンの生産計画や在庫アロケーションの最適化を通じたコスト削減、顧客需要の予測や供給リソースの最適化を通じた売上拡大などを通じて、事業損益に関する意思決定に貢献できるのではないかと考えております。またサプライチェーン全体の脱炭素化やガバナンス強化に向けた意思決定にも貢献でき、バリューチェーンにおける利益拡大やESG経営の価値向上にも貢献できると考えています。

エンド・ツー・エンドでのサプライチェーンの情報の可視化・共有化の発展状況ですが、現在では「企業内」での情報の可視化は多くのお客様で既に実現できており、「企業間」の情報収集や連携の実現を目指しているお客様が多いと認識しております。ただし現状では、まだまだ電話、メール、ファイルなどアナログな手段に頼っていて、次のステップとして、デジタルな手法を用いて企業間の情報をステークホルダー間で連携・共有する取り組みが増加しつつあり、そのニーズがますます高まっていくという実感を持っています。

NTTデータでは、これまで製造業、商社、小売業を中心にデジタル連携の実現に向けた支援をさせていただいた実績があります。例えばメーカーとサプライヤー間の情報連携、契約文書のデジタル化、トレーサビリティ、ブロックチェーン、商流・金流のデジタルな手段での可視化連携など、多数のご支援をさせていただいております。

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企業間のデジタル連携を実現して実際に課題を解決した事例をご紹介します。
グローバルに事業を展開されている電気機器メーカー様のケースなのですが、サプライヤーの需給データをデジタルな手段で連携し、可視化・共有化を実現した例です。
こちらのお客様の課題としては、サプライヤーさんとの在庫・出荷情報の共有が適切にできておらず、需給調整の際にアナログなコミュニケーションが多く発生して非効率となっているほか、サプライチェーン全体の情報を俯瞰して確認することができず、余剰在庫や品切れの発生が起きるということがありました。

こうした課題に対して、サプライチェーン上の生産や在庫といった需給データを一元的にデータ基盤に連携させることで、本社・工場・100社を超えるサプライヤーとの間で共有・可視化を実現し、需給調整のコミュニケーションの効率化を図りました。需給状況をサプライチェーン全体で俯瞰して見ることが可能になったため、迅速な意思決定をはじめ、在庫の削減や機会損失の回避も実現できた事例となっています。

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この課題解決で実施した具体的なソリューションをご紹介します。まず企業間のデジタル連携では複数の企業様やユーザーがさまざまなタイミングでデータ連携や参照が発生しますので、連携データの確認といった前処理や参照時のデータアクセスの制御や開示範囲の設定などが必要となります。そこを我々のデータ基盤ソリューションである「iQuattro®」が担っており、データ連携の実現やデータの正確性や精度を担保しております。
次にこうしたデータの活用では、クラウド型計画実績管理プラットフォームである「Anaplan」を活用し、可視化モデルや計画調整モデルを構築し、企業間での需給バランス、将来の部品在庫の推移、欠品の予兆の把握などの可視化を行い、サプライヤーと工場間の動き調整の効率化を図ってまいりました。スライド3.jpeg

企業間のデジタル連携を実現していく上での課題として、お客様の「プロジェクト推進面」と「ケイパビリティ(実行面)」に大きく分類できると我々は認識しております。
プロジェクト推進面では、デジタル連携という新しいテーマとなりますので、構想の策定やステークホルダーさんの巻き込みといったところに、課題やハードルを感じられているお客様が多いと認識しております。

こうしたハードルの高さに対して、データ連携基盤のiQuattro®とAnaplanの組み合わせは、多くの企業様の課題解決に貢献できると考えています。
弊社は多くのお客様で企業間のデジタル連携に貢献してきた実績、プロジェクト推進面の強み、そして複数企業のデータを繋げて蓄積活用するためのプラットフォームの強みを持っております。また、柔軟な業務設計が必要になる企業間業務において、柔軟な開発が特長であるAnaplanとは、非常に良い組み合わせと考えています。

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また、需給の調整に限らずCO2の排出量の可視化やサステナビリティといった社会価値への対応にも、iQuattro®とAnaplanの組み合わせは非常に適したソリューションになると考えております。

Anaplanご紹介

ーConnected Planningとサプライチェーン領域での活用-
Anaplan Japan株式会社 大場 達生 氏

弊社Anaplanは、企業や組織の計画業務を支えるクラウドプラットフォームを提供している企業です。
ひとことで企業の計画業務と申しましても、売上、経費、損益というファイナンスの計画もあれば、本日のテーマのようにサプライチェーンの計画業務もあるでしょうし、営業の計画、人事の計画など、多種の計画業務があります。
私たちは、これらの計画業務はすべてつながっているべきであるという考えのもと「Connected Planning」という考え方を提唱させていただいております。

Gartner社のリサーチによると2024年までに全企業の70%がConnected Planningを実現すると予測しています。そしてGartner社からはAnaplanは単独のプラットフォームで唯一Connected Planningを実現できるソリューションという認定評価をいただいています。

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グローバルでは現在2200社以上のお客様に採用いただいております。
日本市場には2016年に進出した当初からNTTデータさんとパートナーシップを結び、一緒にお客様提案活動をさせていただいています。現在200社を超えるお客様にAnaplanを活用いただいています。

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Anaplanのサプライチェーンにおけるソリューションは、需要予測、需要計画、供給計画、サプライヤーコラボレーション(企業間連携)に対応するもので、エンド・ツー・エンドでサプライチェーン計画業務を支援することが可能です。サプライチェーン領域ではグローバルで450社以上のお客様に活用いただいており、企業間連携に向けた取り組みを始めるお客様も増加しつつあります。

パネルディスカッション ー企業間共創プロジェクト推進の秘訣-

テーマ1:「企業間の壁」を超えた業務改革について
司会「サプライチェーンのデータ活用に関して、企業内での活用と企業外での活用にはどんな違いがあるのでしょうか」

大場「企業内のサプライチェーン計画は内部プロセスの最適化です。いまだに部門間や拠点間で情報がサイロ化され、つながっていないケースがあります。それを効率化や標準化していくことが企業内のサプライチェーン計画と言えます。
企業間のサプライチェーン計画は、コロナのパンデミックによる供給の危機への対応策として大きく注目されるようになりました。サプライヤーさんとの信頼関係構築や、セキュアなシステムなどハードルは高い面はありますが、サプライヤーさんも含めて共同で価値創造していくというのが大きなテーマとなっています。
ここあげたのは企業間連携の課題の一例ですが、営業部門、調達部門、本社部門、生産部門ごとに早期に情報を把握したいという課題があり、こうした背景から企業間サプライチェーンの計画の連携のニーズが非常に高まってきています」

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久保「これまで利害が対立していたような企業間でも、在庫状況や販売状況の共有により、それぞれが利益を上げていくとか、適切に配送していくとか、環境資源の有効活用で社会課題にアプローチするといったところで企業間コラボレーションに取り組んでいく案件も出てきていると感じています」

中村「私が現場で特に感じるのが、1つの企業様ではなくサプライチェーン全体として品質の統一や向上という価値創出ができるのではないかということです。また連携活動を通じてお客様たちが協力関係を築けること自体に非常に価値があると思っています」

テーマ2:企業間プロジェクト推進の難しさについて
司会「利害の異なるプレーヤーが協力して利益を出していくのはかなり難しいことのようにも思われます。利害関係の異なるたくさんのステークホルダーを巻き込むとなると、反発の声も上がることはあるのではないかと思いますが、そのあたりの経験やご意見を伺いたいと思います」

久保「取り組みの先にあるゴールや、それを行う理由をプロジェクトメンバー間でしっかり決めておくことが重要です。そのうえでステークホルダーに説得し理解を深めていただくというプロセスを踏んでいます」

中村「現場の方からすると、業務のやり方を変えるのは抵抗があるので正直反発はあると思います。そのため、夢を語るだけではなく現実として、このプロジェクトを推進するとどんなお客様の利益が生まれるか、いまある課題をどう解決できるのかという、小さい部分でのメリットを訴求していくことが一番重要だと思います。
いわば小さく始めて、大きく育てるというアプローチです」

久保「企業間をつないでいくのは、まだケースが少ないため、どこから、何から手をつけたらいいのかというお客様が非常に多いのが現状です。社内での認識合わせに加えて、システムの目線でも既存システムを使いつつ新しいシステムを作ることになりますので、そのあたりも悩みになっていると考えています。
そうしたお客様に対して、私たちはデジタル連携の導入実績をもとにフレームワークの形でコンサルティングサービスを提供しております」

中村「効果が得られるようになった後に、それをさらに様々なお客様や業界までスケールさせていくこと、そして効果を生むまでのスピードを最大化することが、企業間連携を進めていくには重要かなと思います」

大場「Anaplanでも、最初はまず効果が出るところからスタートしていただいて、徐々に領域を拡張するアプローチが有効なのでそれを採用いただいています」スライド8.jpeg

テーマ3:あらゆるステークホルダーからのデータ収集の実現について
司会「複数のステークホルダーの情報が必要となるわけですが、データを出していただけるのは非常に難しいのではないかと思いますが、そのあたりをお聞かせください」

久保「長い道のりが必要です。さきほどご紹介した100社超のサプライヤー連携の事例では足掛け3年ほどかけて、徐々に徐々に広げていったというのが実情です。
どう広げていったかと言いますと、まず型となるようなデータの連携パターンを作るため、押さえておかなければならないサプライヤーや部品を選定の上、連携パターンを構築して、それを型として他のサプライヤーを巻き込んでいく、というのを基本的なやり方として推進してきました」

中村「お客様ご自身も様々なソリューションやシステムを導入されている中で、多数の企業様からデータを集めようとすると、様々なデータの種類に対応できるようにこちらで備えておく必要があります。iQuattro®とAnaplanの関係性で申しますと、iQuattro®は企業間のデータ連携を行い、Anaplanは企業間の情報を使ってプランニング業務に活かしていただくことになりますが、このデータの入り口の部分を広く構えておかないと障壁になって実現が遠くなります
スライドの通り、iQuattro®ではデータの取り込み部分やデータ蓄積加工基盤を用意して、それをデータ連携という形でAnaplanに渡して使うため、簡易かつ多様なデータ形式に対応したインターフェースが重要と考えております」

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中村「私たちはサプライチェーン領域で蓄積した知見に基づき、必要とされるデータセットに対するインターフェースを先んじて準備しています。例えばCSV、Excel、JSON、PDFなども簡単に取り込めるようになっており、これを内部的な処理で加工変換して蓄積することができます。これを私たちのシステムの中だけで完結できるので、多様なデータ集を簡易にインプットでき、お客様が様々なシステムファイルを持っていてもすぐに対応できる状況を作っております」

大場「あらかじめ用意されたデータモデル、データセット、そしてAPIがあることはとても魅力的であり、即座に開発に入っていけますので、サイプライヤー様にとっては非常に有効な技術だと思います。Anaplanはアジャイル開発に非常に適しているという特長がありますので、最初は小さく始めて徐々に領域や機能を拡大させていくのもやりやすいという面があります」

テーマ4:まとめ-共創プロジェクトの成功と今後の展望について
司会「お客様とともにプロジェクトを作り上げていくことになると思いますが、改めてお客様にご要望することがあればお願いします」

久保「たくさんのステークホルダーの方が入ってくるプロジェクトになりますので、ゴールをしっかり定めて、企業間の業務をどう変えていくかなど、チーム全体で一枚岩になるのが重要かと思っています。そのうえで自社の部門やステークホルダーを巻き込んでいけるように、リーダーシップを持っていただくことが成功の秘訣ではないかと思います」

中村「リーダーシップは私も重要だと思います。SCMという領域自体が、情報システム部門様だけではなく生産管理、設計管理、物流管理など様々な事業部門に多岐にわたってまたがるものです。そのため、リーダーシップを持って旗を振って各部署を巻き込んでいただき、それを私たちも一緒に推進していくという形にしないと、サプライチェーンもバリューチェーンもなかなか成功は難しいところがあります。
そういう壁を乗り越えていくためには、きれいな絵姿を描くだけではなく、現場に飛び込んで泥臭く、地道な活動も必要かなと思っています。現場に入って話をして、課題を知って、現場の方々がこの活動でどんなメリットを享受できるか足を使って説明していかないと、なかなかうまくいきません。お客様とがっぷり四つになって解決していくことが結果的に近道になるのかなと思っています」

久保「あとサプライヤーやステークホルダーに対して、どうメリットを作っていくかも課題かなと思います。サプライヤーのメリットであるとか、貢献しただけのインセンティブがあるという状況を作っていくことが、企業間の健全なコラボレーションにつながると考えられます。最近ですとサステナブルやグリーンなどがキーワードとして出てきています。サステナビリティは企業全体で重要なテーマとなってきますので、共有化と可視化は大きな切り口になると考えており、次に目指すべきものであると考えております」

大場「サステナビリティは昨年あたりからお客様のお問い合わせが急増しています。現在のところはGHG(温室効果ガス)の排出量やCO2の削減計画といった社内問題にとどまっていますが、いずれは企業間連携やサプライチェーン全体に発展していくと予想しています」

久保「インセンティブの案としては、例えばサプライヤーのサプライチェーン全体への貢献度合いを可視化してポイントのような形でインセンティブを付与したり、サプライチェーンファイナンスといった仕掛けを作ったりして、なんとかサプライヤーにメリットを提供できないかと、いまお客様と一緒に構想しているところです」

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