では、D2Cを立ち上げるにあたって、よくある悩みとその解決の方向性について簡単にご紹介します。D2Cブランドマネージャー様の代表的な悩みをまとめたのが下の図です。
企画フェーズ、立上フェーズ、成長フェーズ、いずれのフェーズにおいても多数の課題が見受けられましたが、いずれもこれまでのナショナルブランドのようなマスマーケティングが通用しない世界の中で、事業やマーケティングを行うことに起因するものが多いようです。
企画フェーズでは、そもそもD2Cの企画方法が分からないということがあげられます。ナショナルブランドとは違うユニークなインサイトをどうやって見つけていくのか、事業をどう作っていけばいいのか、そうした企画方法がわからないといったお悩みです。そしてアイディアができたとしても、その経営的な効果をどう説明したらいいか分からない、というのも大きな悩みです。
次に立上げフェーズでは、D2Cを立ち上げるためのソリューションやパートナーの選定が難しいというお話をお聞きします。大規模なナショナルブランドとは異なり、クイックかつミニマムに立ち上げる必要がありますので、これまで大手メーカー様がお付き合いされていなかったソリューションやパートナーの選定も非常に重要になります。加えて事業規模は小さいものの、Web広告、EC、CRMといった非常に広いデジタル領域を横断して取り組む必要があり、そうした知見も非常に悩ましいといったお話も伺っております。
そしてローンチ以降の成長フェーズでは、事業・マーケティングのデータが複雑で散在しているため、例えば今月の数字の実績をどう評価して来月の施策に生かしていくかといった、事業状況の事実の把握とそれに対するアクションの検討も非常に悩まれていらっしゃいます。さらにD2Cでは集客が非常に重要になりますが、Webの広告運用は非常に専門性が高く複雑ですので広告代理店様に任せきりになる場合が多く、成果をどのように評価するかも悩みになっているようです。
とは言え、事業やマーケティングのフェーズはブランドにおける本丸と言える部分でもありますので、やはり自分たちで納得しながら取り組みたいところです。
こうしたお悩みに対してNTTデータは3つの解決の方向性をご紹介しています。
・1つ目は企画フェーズにおける伴走型の事業創出メソッドである「FORTH」と「BDS」。
・2つ目は立上フェーズにおける最先端D2Cソリューションである「ecforce」とNTTデータの伴走型プロジェクトマネジメント。
・3つ目が成長フェーズにおける広告パス別LTV見える化「グロースコックピット」です。
こうした3つの方向性で、NTTデータはD2Cブランドマネージャー様が自ら考え、意思決定するための「伴走支援」を各フェーズにて提供・構想しています。
・企画フェーズ: 伴走型新規事業創出メソッド「FORTH」&「BDS」
新規事業創出にあたって機会の探索、アイディア検証、課題検証、解決策の検証といったフェーズが一般的ですが、機会の探索とアイディア検証ではグローバルなイノベーションメソッドである「FORTH INNOVATION METHOD」を提供しております。そしてアイディア検証のところからFORTHと組み合わせて、課題検証、解決策検証に取り組んでいくためのメソッドが、弊社が独自で開発した「BDS(Business Design Sprint®)」です。
NTTデータではこうした世界的なグローバルメソッドと弊社で独自で開発したBusiness Design Sprint®を組み合わせて、お客様のD2Cの事業創出に伴走させていただく考えでございます。
「FORTH」や「BDS」は製造業、サービス業、通信業のお客様複数社に既にご利用いただいています。お客様企業のメンバーの皆様は新規事業創出の経験がなかったり経験の浅かったりする方々でしたが、このプロセスによって確実に事業創出を図っていくことができております。
・立ち上げフェーズ: 最先端D2C「ecforce」×NTTデータの伴走型PM
立ち上げフェーズにおきましては、「ecforce」と弊社の伴走型PMについてご紹介したいと思います。「ecforce」は、SUPER STUDIO社というスタートアップ企業が提供している、ECやD2Cのビジネストレンドを踏まえたD2CのSaaS型ソリューションです。大きな特徴の1つ目としてあげられるのが、ビジネストレンドを踏まえて常に最新の機能を開発・提供していることです。2つ目の特徴は、売上を最大化するためのマーケティング機能が充実していることです。
例をあげますとユニリーバ・ジャパン様で社内のビジネスコンテストがあったのですが、ここで入賞したD2Cのブランドがこのecforceを使っていたという実績もあるなど、大手企業の方々にも選ばれるソリューションとなっております。
一方で、NTTデータには豊富なCX(顧客接点領域)の支援の実績がございます。ECシステム、マーケティング、データ分析など、これまで20年以上にわたって小売業・製造業様のCX領域の変革を多数手がけてきました。D2CネイティブのSaaS型プラットフォームである ecforceと、弊社のCX領域におけるプロジェクトマネジメント実績を組み合わせることによって、お客様のD2C事業の立ち上げを伴走しながらサポートいたします。
・成長フェーズ:広告パス別LTV見える化「グロースコクピット(仮)」
成長フェーズにおいては集客が重要になります。D2Cブランドでは、100名入ったお客様で1年後に残る人数がだいたい13人ぐらいと経験則的に言われています。D2Cは一般に顧客ロイヤリティの高いLTV型ビジネスと言いながらも、新規獲得の手を緩めることが難しいのが現実です。
質の良い事業成長のためには広告宣伝費の最適化がカギになりますが、Web広告量の評価の難しさが課題となっていました。広告のクリエイティブ、InstagramやFacebook、tiktokといった媒体、それとランディングページやオファーキャンペーンの組み合わせで広告パスを評価することが一般的ですが、従来はその獲得効率に資するCPAで評価することが多かったという現状です。しかし現在は広告パスが非常に複雑化し、また改廃も激しいため広告パスを1つ1つ吟味する余裕がないという課題があります。またLTVデータと広告パスがそれぞれ別管理のデータとなって分断しているため、広告パス別にLTVを評価するのは異常に難しい状況にありました。
こうした課題に対するNTTデータの解決策が、「デジタルD2Cグロースコックピット(仮)」です。これは広告パス別にCPAだけでなくLTVで評価を可能にするものです。自ブランドに影響の大きい広告パスに絞り込んで評価できるようになるほか、広告パス別にLTVが見えるようになることで、ブランドの成長の観点からも広告パスを評価することが可能になります。こちらは現在構想中で具体化を急いでいるところです。