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デザイン思考だけではもう古い?なぜ未来シナリオが今必要か?            受付終了
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NTT DATA Next Gen Future vol.26

デザイン思考だけではもう古い?なぜ未来シナリオが今必要か?

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目まぐるしいスピードで変化するビジネス環境下で事業戦略やその見通しを具体化することが難しくなっています。そのような中、数十年先の社会におけるビジネスの展望を描く未来洞察が注目されています。本セッションでは技術トレンドから未来を推測するフォアキャストアプローチ、未来の社会と生活者目線から未来を描くバックキャストアプローチを組み合わせた未来シナリオの概要とユースケースについて紹介します。

株式会社NTTデータ  テクノロジーコンサルティング事業本部 デジタルテクノロジー推進室  石澤 知紀

2019年にNTTデータに中途入社。それまで主に金融SIerにて、アプリケーション設計、開発に従事した後、2015年よりデザインコンサル領域で新規事業開発や伴走支援、サービスデザイン業務を担当。近年は従来のキャリアに加え未来シナリオデザインに取り組んでいる。

セミナーレポート

なぜ未来シナリオが必要なのか

皆さんは「VUCA*の時代」という言葉をお聞きになったことがあると思います。市場は目まぐるしいスピードで変化し、不確実で予測は不可能ということが言われています。なかでも不確実性の高い社会課題として、生活者の考え方や価値観の変化、気候変動など環境の変化、サステナビリティ経営の変化の3つがあります。
こうした社会課題と向き合いながら、今後の企業活動に取り組んでいく必要があり、この中に新たなビジネスチャンスがあると考えています。
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)

チャンスをしっかり捉えるには、変化に対応できるプランの作成と選定が必要となります。例えば新しい事業をつくったり、新しいテクノロジーを使ったアイディアを検証したりする時に求められるのは、資金力よりも速さだと言われています。会社の規模が大きくなると、資金力はあっても社内社外での合意形成が必要になるなど、柔軟な方向転換や迅速な意思決定がやりづらいなどの背景があると思います。こうしたことを意識して、取り組んでいくことが必要になってくると考えています。

また常にステークホルダーを意識して感度よくアンテナを張っておくことも必要です。そして今が動くべきタイミングだと判断した時の初動を速くするために、プランをあらかじめ事業戦略や実行計画まで落とし込んでおく必要があります。

未来を見据えた事業のデザインに昔から取り組んでいるグローバル企業はいくつもあります。例えばトヨタ、GE、パナソニック、キヤノン、サムソンなどが代表かと思います。
こうした企業は、変化が激しい世の中では「未来を起点」として視野を広げることで、これまでの自分たちの領域にとらわれない発想と幅出しにつながると考えていると言われています。

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未来シナリオの概要

未来シナリオの概要について説明する前にデザイン思考について触れておきたいと思います。デザイン思考とはユーザーの観察から気づきを得た少し先のありたい未来を起点に課題解決策の発散と収束、改善を繰り返すこと、と言われています。言い換えるとデザイン思考とは、少し先の未来に対してユーザー目線で解決に取り組むフォアキャストアプローチです。
これに対して未来シナリオは、現状の社会課題をとらまえて、実現したい未来から逆算して今やるべきことを考えるというバックキャスティングアプローチという特徴があります。
この違いを整理したものが下の4象限の図です。横軸が社会起点と人間中心起点で、縦軸には上が不確実な可能性を重視で、下に確実なトレンドを重視としています。
皆さんがよくお聞きになるマクロトレンドやシナリオプランニングは左側の社会起点に配置されます。主にトレンドや予測をもとにロジカルにプランニングしていく特徴を持った手法です。

未来シナリオやデザイン思考は、右側の人間中心、人間起点に配置されます。デザイン思考は、少し先の未来、見通しがつきやすい未来に向けてどうあるべきかというアプローチを取ります。一方の未来シナリオは不確実な可能性を重視します。したがって今日のように予測ができない不確実性の時代では、不確実性の可能性を探り、それを起点に逆算することで不確実な未来に備えるという未来シナリオのアプローチが有効になってくるわけです。

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未来シナリオのデザインアプローチ

具体的なデザインアプローチの例を下のチャートで示します。こちらは今まで実践してきた案件を一般化したモデルケースです。
左側の未来シグナルリサーチは、いきなりバックキャスティングして未来像を描いていくのは難しいので、そのシグナルや関連トレンドを見つけていくプロセスです。そして未来洞察では、自分たちが目指すべき筋の良い方向性を定めて、それに向けてバックキャストしたらどんなシナリオを描けるかというアプローチを進めます。

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未来シグナルリサーチでは、図のように(A)インパクトが大きくて不確実性が低い-つまり確実に対応しなければならないメガトレンド、あるいは(B)インパクトは大きいが不確実性も高い-すなわち確実ではないが大きな変化として備えておかなければならないドライビングフォースといったものを見つけに行きます。

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例えば「20XX年の観光地のドライビングフォース」を見立てた例では、仮想空間の普及といったキーワードが出てきます。

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次にご紹介するのがFromToExplorationという手法です。

最初に自分たちが取り組む事業テーマに該当する側面を洗い出します。観光という事業テーマであれば、観光地での周遊や、観光地での飲食などをあげていきます。次に現状のFrom(現状の手段や行動)の定義から、該当するメガトレンドやドライビングフォースを特定していきます。そしてマクロの視点でどういう未来になっているのかを探ります。

ここからが未来洞察のプロセスとなります。マクロ視点で描いてそのうえでリアリティと共感につながるユースケースに落とし込んでいきます。この時、人間視点、ユーザー目線を忘れずにバックキャストでシナリオの骨子を描いていきます。ここまで実施すると右側の赤枠のような未来図の骨子ができあがります。
そして各々のユースケースについて、先程説明した(A)インパクトが大きくて不確実性が低いもの、(B)インパクトは大きいが不確実性も高いものなのかを紐付け、優先順位を決めます。

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そして最後に、優先順位によって選定したユースケースをもとに最終的な未来シナリオを作成していきます。ユーザー目線でジャーニーを描き、それをもとに123幕といったふうにシナリオを作っていきます。ストーリー仕立てにすることで、ステークホルダーの共感が得やすくなり、議論がしやすくなるというメリットがあります。

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未来シナリオを描くうえで重要なことが3つあります。
1点目は、極端であるものの信ぴょう性のあるシナリオを描くことです。
2点目は、変化に対応できるプランになっていることです。
3点目は、継続的に変わり続けることです。

シナリオは、作ってそれで終わりというものではなく、マーケットや世の中など、シグナルは常に変動します。新しい情報が入ってくるたびに見直しや軌道修正して、変わり続けるシナリオを作り出すことがポイントです。

まとめ

本日は以下の3点にあるように、未来シナリオの必要性、その概要、そしてデザインアプローチをご紹介しました。
最後になりますが、未来シナリオを描くということは、皆さんがどのような未来をつくりたいか、どういう未来でありたいのかという強いウィル、ポジティブなマインドセットで取り組むことが大切であると考えています。

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