クラウドのトレンド予測
ガートナーのリサーチによれば、テクノロジへの投資計画はレガシーな基盤やデータセンタへの投資を減らす一方で、クラウドに対する投資を増やすと回答している企業が多く、これは今後もさらに加速していくと言えます。各種のクラウドサービスが存在するなか、企業としては単一のクラウドサービスだけでなく、例えばAWSをメインで使って、分析系はGoogleのBigQueryを活用するなど、マルチクラウドの活用が主流になりつつあるという印象を持っています。
下の図表もガートナーによるもので、今後クラウドに関して短期中期長期でどういった技術やトレンドが台頭してくるかを示しています。
この中から注目すべきトレンドとして、
・Cloud Sustainability
・Industry Cloud
・SRE as a Service
の3つを取り上げてご紹介していきます。
注目トレンド① Cloud Sustainability
昨今のESGへの関心の高まりを受けて、クラウドの業界でもサステナビリティを意識したソリューションが展開されています。例えばAWSではITトランスフォーメーションパッケージというプログラムがあります。もともとはクラウド移行の際のコスト削減効果を見える化するソリューションだったのですが、CO2排出削減量の試算・モニタリング・将来予測といった観点が追加されています。またMicrosoftにもMicrosoft Cloud for Sustainabilityというソリューションがあり、これも環境負荷のデータの可視化や環境に配慮したITインフラ構築の支援のサービスとなっております。
このようにクラウドベンダー各社とも、再生エネルギーの活用によるESGへの貢献を打ち出すとともに支援サービスをリリースしているといった状況にあります。
注目トレンド② Industry Cloud
Industry Cloudとは特定業種向けのクラウドソリューションのことを言います。昨今はIaaS領域のみならずAP領域もコモディティ化する傾向にあり、業界ごとの汎用性の高い機能がクラウドサービスとして提供され始めています。
例えば、AWSではヘルスケア業界向けにAmazon HealthLakeというデータ分析や可視化に対応したサービスですとか、製造業界向けにはセンサから得られたデータを分析するための機械学習サービスを提供しています。Microsoftにもヘルスケアや金融、製造業向けのサービスが存在しています。同様にGoogleにも各業界に特化した機械学習などのサービスがあります。
いずれ我々のようなSierが、こうした汎用的なサービスを部品として利活用し、それらをしっかりと統合してマネジメントしお客様にご提供するような形になっていくことを予想しています。
注目トレンド③ SRE as a Service
近年SRE as a Serviceが注目されておりますが、その背景をまずはご説明します。下の図はDevOpsの出現によるITサービスのマーケットの変化を示しています。図の下の部分は基盤を表しており、データセンタを前提としたマネージドサービスからクラウドベースのマネージドサービスへとシフトしていくことが予測されています。また上半分のConsulting and Implementationつまり実装コンサルティングの部分と、Application and Management Serviveつまり運用のサービスが、水色で書かれているContinuous Product-Centric Serviceへと変わっていくと予測しています。ここで申し上げたいのは、アジャイル開発や内製化が主流になってくると、継続的にシステムやアプリケーションをアップデートし続けるための仕組みや体制が求められることになります。
そういった背景から、最近よく聞くSREというトレンドが高まっていく傾向にあります。SREはSite Reliability Engineering)の略で、Googleが提唱した考え方なのですが、サービスやプロダクトの信頼性向上を図るためにシステム運用の自動化や効率化を行うことを言います。
現在ではSREという言葉は広義な意味で捉えられる場合もありまして、SREチームがこの図のようにアジャイルのスクラムチームに対して横串で整備されて、共通的な仕組みを整えたり各スクラムチームに高度な技術サポートを提供したりするといった役割になります。
またSREチームは従来の運用とは異なる役割となっており、システム運用の経験とソフトウェア開発のスキルが求められます。
こういった体制をお客様側で用意するのは非常に難しいため、Sierがサービス化して提供するというのがSRE as a Serviceです。
このようにクラウドが多様化、複雑化していくなか、NTTデータではお客様に寄り添うというコンセプトに基づき、企画から移行、運用までトータルに最適なクラウドサービスの活用をサポートしております。
クラウドの導入コンサルや技術サポートを行うプロフェッショナルサービス、クラウド活用によるESGの効果の見える化のためのGreen Cloud Advisory、設計構築を行うインテグレーションサービス、そしてiRES(アイレス)というマネージドサービスを提供しています。そして今年新たに、先ほどご説明したSRE as a Serviceの提供も開始しました。クラウドサービスのリセールも当社ならではの付加価値をつけてご提供しております。
①Green Cloud Advisory
NTTデータでは4つの観点でグリーンITアーキテクチャをデザインします。
1つ目のプラットフォームの観点からは、お客様のシステム運用に合わせ、カーボンニュートラル化が進んでいるパプリッククラウドや、消費電力効率の高い最新データセンタへの移行など、CO2排出量の削減が可能になるITプラットフォームを選定します。
2つ目のアーキテクチャの観点ではシステム環境に必要となる要件をもとにエネルギー効率の優れたアーキテクチャデザインを決定します。例えば現行システムの集約化によるハードウェアリソース削減やペーパーレスなどへの変革などを検討します。
3つ目の観点として次期アーキテクチャのモデルをもとに、事業戦略に期待される効果とTCO分析を行い、費用対効果のバランスを分析してグリーンIT環境の将来像を策定します。
そして最後に4つ目の観点として、これらのワークロード全体のCO2排出量を可視化・観測し、継続的改善を行うためのライフサイクルの管理の仕組みを策定します。
②NTTデータのSRE as a Service
先ほどご説明した通りSREチームは開発・運用の両面で共通的な仕組みを整え、各スクラムチームに対して高度な技術サポートを提供する役割を担っています。この部分を当社のSREチームがサービス提供する形でご支援させていただきます。
当社のSRE as a Serviceは現在、2つのサービスがご利用可能となっています。
「クラウドネイティブ開発支援サービス」では、マネージドサービスを活用したシステムアーキテクチャ検討のご支援、お客様が未経験のサービスのPoC(Proof of Concept)のご支援、お客様の特性に応じたクラウドの選定やガイドラインの整備などのご支援をさせていただきます。
「クラウドネイティブ運用支援サービス」では、クラウドサービスアップデート情報を踏まえた改善やEOL(End Of Life)対応のご支援、コスト可視化・最適化のご支援、またクラウドをセキュアにご利用いただくための設定などのご支援などを実施させていただきます。
③マネージドサービス「iRES®」
iRESはお客様がお持ちのオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドなどのマルチベンダのITインフラ環境を当社で一元的に運用させていただくサービスです。
iRESには主に3つの特徴があります。
特徴の1点目はUXの向上です。iRESはマルチデバイスに対応しており、お客様の好きなデバイスで重要な通知を受けていただくことが可能になっています。
2点目の特徴は経験豊富な専門部隊による運用サポートです。サービスデスクによる24時間365日の問い合わせ受付や、システム監視・IT運用のプロフェッショナルによる技術サポートにより安定したシステム運用をサポートいたします。
3点目の特徴としては、デジタル技術を活用したマネージメントプラットフォームによる高品質かつ迅速な運用が可能になっている点です。最新技術およびこれまで当社が培ってきた運用ナレッヂやノウハウの活用により、重要アラートの抽出や障害検知や対応スピードを向上し、効率の良い運用を実現します。
iRESでは現在10個のサービスメニューをご用意しておりますが、昨今関心の高まっているセキュリティ&ガバナンス領域のサービスを強化しており、新たにクラウドワークロードチェックサービスをリリースしました。これは動的情報からのセキュリティリスクを検知することができるサービスで、サーバーやアプリケーションなどが普段と異なる動きをしていないかを監視し、異常があれば通知するサービスとなっております。
④Partner Cloud Service
パートナークラウドサービスでは各種ベンダクラウドサービスを当社が窓口となり、サポートサービスまで含めてご提供させていただいております。現在AWS、Azure、NTTコミュニケーションズのSmart Data Platformが提供可能となっております。GCPについては個別にご相談をいただければと思います。
また現在パートナークラウドサービスでAWSをご利用のお客様向けに、「PCSプレミアム」として新しいオプションサービスメニューを2022年10月にリリース予定となっております。通常サービスではご利用いただけなかったAWS Organizationの機能やCost Explorerの機能提供、また当サービスよりアカウントを発行する際にセキリティ観点で設定しておくべきGuardDutyやCloudTrailをあらかじめ設定した状態でアカウントをお渡しするセキュリティアカウント発行サービスやTrend Micro社のCloud Oneを特別ディスカウントでご購入いただけるサービスを開始予定となっております。
また2022年度下期にもコスト最適化コンサルティングやセキリティ診断など、さまざまなサービスが追加予定となっております。
まとめ
当社には本日ご紹介させていただいた以外にも、さまざまなクラウドソリューションがございますので、ご興味をお持ちいただいた方はぜひお問合せください。