NTTデータでは、日本企業のDXの課題を根本から解決するために、2つのことを提案しています。
社員がDXを学ぶための支援が大切
1つ目は、マッキンゼーとも協業しながら、DXを推進し、現場の思考とスキルを変えていくために必要な4つの要素を示しています。
上の図説で示した1〜4のうち、特に3の「スキルと人材の開発」が重要だと考えています。DXでは、社員のスキル向上のために会社の支援が欠かせません。システムの操作を教えるといった表面的なものではなく、どのようにマインドを変えてデータドリブンの営業に向かうのかなど、本質的なプログラムが必要です。
欧米と違い、日本は変革を現場に任せて、支援をないがしろにするケースが多くあるようです。「支援は足りていますか」「システムのマニュアルを説明しただけで“やった気”になっていませんか」「マネジメントスタイルまで学び直す場が用意されてますか」など、あらためて問い直すことが必要です。
弊社ではインフルエンスモデルの1〜3までをお客様の状況に合わせて提案しています。3では、ワークショップを開催したり、実際にSalesforceを使いこなしている営業マネージャーの講演を行ったりしています。
4の「ツール・仕組みの整備」については、マッキンゼーやNTTデータグループの戦略コンサルティング会社であるクニエと協業しています。それにより、人事評価の観点に営業DXの動きを追加するなど、DXに合わせて人事制度変革を行えるようにしています。
Visionを描いた上で、必要な施策やツールを考える
2つ目は、経営層がDXに積極的にコミットし、最初にVisionを描いて、そこから施策やツールを考えることです。
DXはVisionなしには成り立ちません。Visionを描き、そこからブレイクダウンさせて、どのような施策が必要なのか、どういうツールが必要なのかを考えていくアプローチが有効です。
たとえば、機械製造業のI社様は、伝統ある企業としての安心感を取引先に持たれていました。しかし、そのイメージだけでは、今後も成長していくことは難しいという危機感を持っていました。そこで、I社様は「お客様の医者になる」というVisionを掲げました。取引先のエネルギー効率の向上や、パフォーマンスの向上などを診断することで、価値提供のレイヤーを上げていこうと考えたのです。
そのためには「商品が壊れたから見積もりを持っていく」といったリアクティブな営業ではなく、お客様の困りごとは何かについて自ら情報を取りにいかなくてはなりません。そのためには情報を記録する必要があるということで、必要なIT施策やITツールを定義し、その手段としてDXを実践したのです。
経営層が Visionを描いて進むべき方向性を示し、ITベンダーがDXを推し進める
「DXの成果があまり出ていない」という企業の中には、Visionを持っていないがゆえ、DXが始まってすらいないこともあります。言い換えると、現状においてお客様からどう見られているのかを把握できていないのです。
Visionを描くには、お客様にどう見られたいのかを考える必要があります。この問いを言語化することで、DXの課題が見えてきます。NTTデータでは、Visionの設定からお客様をご支援させていただくこともできます。
DXの成果は、ITの仕組みがあり、オペレーションが変革され、それを使うユーザーのマインドがあって、ようやく出るものです。そのためには、Visionを描き、DXを実践する確固とした決断を経営層が行う必要があります。
一方で、これまでにご紹介してきたように、日本型組織はDXの実行を阻害するさまざまな要因を抱えています。それらの要因を取り除いてDXを前へ進めていくために、ITベンダーと手を取り合うことも重要なポイントです。NTTデータは、これまでの豊富な経験から、日本企業がつまづきがちなポイントを解決していくノウハウを持っています。
Visionを描いて企業が進む方向性を示すことと、自社が抱える阻害要因を取り除いてDXを進めていくことは、表裏一体の関係にあり、お互いにつながっています。ぜひ、NTTデータと一緒に、本気でDXに取り組んでいきましょう。